本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.10.20

急速に悪化する各国の財政状況

10月14日に発表された「IMF(国際通貨基金)のレポート」によると、「2020年の世界全体の政府債務残高は、国内総生産(GDP)合計の98・7%に達し、前年比で15・7ポイント上昇する」と予想されている。しかも、「日本」については、「前年比で28,2ポイント増の266.2%」という、きわめて危機的な事態に陥る状況も予想されるわけだが、実際には、いまだに、「超低金利状態」が継続し、また、「個人の預金も増え続けている状況」となっているのである。

つまり、「国家の債務残高」については、時間の経過とともに、より一層、膨らんでいる状況でありながら、一方で、「今後、この債務が、どのようにして返済されるのか?」については、依然として、無視され続けている状況とも言えるのである。別の言葉では、「2011年の原発問題」と同様に、「今まで大丈夫だったから、これからも、同様の事態が継続するだろう」というような「根拠のない楽観論」が支配している状況のようにも感じられるのである。

そして、「臨界点」という「事態が急変する時期」に見舞われた時に、「国民がパニック状態に陥る可能性」も想定されるが、実際には、不思議なほどの安心感が存在している状況のようにも感じている。つまり、「デフレの時代だから、金利が上昇することはないだろう」、あるいは、「日本は先進国だから、国家財政が破綻することはないだろう」などの意見が信じ込まれている状況のことである。

より具体的には、「日銀が、個人の銀行預金を借りて、国債を買い付け、超低金利状態を維持する」という方法により、「金融システムの安定性」が保たれてきたわけだが、現在では、この方法に限界点が訪れている状況とも言えるのである。つまり、「日銀の資金調達法」に関して、「デジタル通貨から紙幣へ」という劇的な大転換が発生する可能性が高まっている状況のことである。

そして、この事実に気付いた人から、徐々に、「実物資産への資金移動」を始めている状況とも思われるが、実際には、「お金があっても、現物不足により、品物が買えない状況」が発生し始めているのである。つまり、「ボトルネックインフレ」が、世界のいろいろな分野で発生し始めている状況とも言えるわけだが、この点については、今後、「金利の上昇」、あるいは、「国債価格の暴落」により、ほぼ瞬間的に、世界全体に認識される事態が訪れるものと考えている。