本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.11.22

トランプ大統領の置き土産

「11月18日」から「12月23日」までの期間は、「暦のフラクタル(相似形)」の観点から、大きな危機意識をもって世界情勢に注目している。つまり、「サブプライム問題」が発覚した「2007年7月」が「11月18日」に相当し、また、「2008年9月」の「リーマンショック」が「12月23日」に相当するからだが、現時点では、「11月19日」に発表された「米国財務省からFRBへの資金返還要求」が、まさに、この要件を満たす出来事だったようにも感じている。

具体的に申し上げると、「2019年の9月17日」に発生した「米国翌日物金利の急騰」以降、米国の「資金の流れ」は、「国民の資金を利用した国債の買い付け」が難しくなるとともに、「民間金融機関への資金提供」も必要とされる状況へ変化を始めていたのである。別の言葉では、「財務省などからの資金提供」を受け、「金融システムの安定」が図られてきたわけだが、このような状況下で、今回の「コロナ・ショック」がもたらしたものは、より一層の「財務省への依存度の高まり」だったのである。

ところが、今回発生した変化は、突如として、「ムニューシン財務長官」が、「11月19日付けの書簡」で「年末までに、4550億ドル(約47兆円)の資金返還を要求した」という事件だったのである。そして、この理由としては、「トランプ大統領の置き土産」とも言える「次期政権に対する嫌がらせ」、あるいは、「財務省の資金繰りがひっ迫した可能性」などが想定できるものと考えている。

つまり、「2008年9月」に発生した「リーマンショック」以降、世界の金融界は、「デリバティブの大膨張」で生み出された「大量のデジタル通貨」を利用することにより、「世界的な超低金利状態」を満喫しながら、「デリバティブバブルの崩壊」という大問題を隠蔽し続けることが可能な状況だったのである。具体的には、ピーク時に存在した「約8京円もの残高」に関して、「世界各国の中央銀行がバランスシート残高を増やすことにより、約2京円もの残高を減らすことができた状況」のことである。

しかし、この方法については、前述のとおりに、すでに限界点に達しており、今後は、「紙幣の大増刷で、すべての借金を棒引きにする」という「古典的なインフレ政策しか残されていない段階」となっているのである。そして、今後、最も注目すべき点は、「デリバティブの時限爆弾が、いつ、破裂し、金利の急騰が始まるのか?」ということであり、この点については、年末までに、事情が明らかになるものと考えている。