本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.12.30

マイナス金利の正体

現在、ヨーロッパを中心にして、「マイナス金利の副作用」が憂慮され始めているが、この点に関して必要なことは、「マイナス金利の正体」を理解することだと考えている。つまり、「なぜ、マイナス金利が発生したのか?」に関して、歴史的観点、そして、具体的な数字で検証することだが、実際には、「国家の借金」である「国債」と、「紙幣の増刷」という「インフレ課税」の「中間的な状態」を意味しているものと感じている。

より具体的には、「国家の運営」を考えると、「税収」で「歳出」が賄えなくなったときに、「国家の借金」である「国債」が発行されるが、「国家の債務残高」が増え続けると、最後の段階で、「紙幣の増刷で、国家の借金が棒引きされる」という「インフレ課税」が課されるのである。そのために、私自身は、この点を注意深く見守ってきたが、実際には、「信用本位制」という通貨制度、そして、「デリバティブ」や「デジタル通貨」などの存在により、「インフレへの道筋」に、大きな変化が発生したことも見て取れるのである。

つまり、人類史上、未曽有の規模で「マネーの大膨張」が発生し、その結果として、政府や中央銀行に、新たな「時間稼ぎの手段」が誕生したわけだが、具体的には、「国民の預金」を間接的に借りて、「マイナス金利」という「国民から資金を搾取する方法」が産み出されたのである。別の言葉では、「紙幣の増刷」の場合、「国家が紙幣を発行することにより、目に見えないインフレ税が課される状況」となるものの、「マイナス金利」については、「民間金融機関などから、金利を徴収する」という効果が得られるのである。

より具体的には、「100円の一年国債」を、日銀などが「101円」で買うことにより、「一年後に、国家が1円の償還益を得る状況」のことである。しかし、現在では、「日銀」においても、更なる「国債の買い付け資金」が調達不能な状態に陥りつつあり、実際には、「国民の預金」を使い果たすとともに、「民間金融機関の経営悪化」により、「金融システム」が危機的な状況に陥り始めたのである。

しかも、「メガバンク」については、「オフバランス(簿外)で、約6京円ものデリバティブを保有している状況」となっており、そのために、「わずかな金利上昇で、ほぼ瞬間的に、世界の金融システムが崩壊する可能性」も存在するのである。つまり、「1991年のソ連崩壊」と同様のメカニズムが、現在、世界的に働き始めているために、現在は、「マイナス金利の副作用」などの悠長なコメントを発している段階ではなく、「インフレの大津波」に備える時とも感じている。