本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.1.4

1945年の日本

今後の注目点は、「デリバティブの時限爆弾」が破裂し、「世界的な大インフレ」が始まる事態、すなわち、世界的な「金融戦争」が終戦を迎える事態だと考えているが、この点に関して参考になるのが、「1945年の日本」のようにも感じている。つまり、「神風特攻隊」という「自殺的な行為」ができなくなった時に、国内で「空襲」が始まり、その後、「原爆投下」という悲惨な事件にまで至った展開のことである。

あるいは、「史上最悪の作戦」と呼ばれた「インパール作戦」が実施され、数万人の犠牲者が出た状況のことでもあるが、基本的には、「軍部の暴走が極まった結果、国民が甚大な被害を受けた状況」を象徴した時期だったようにも感じている。つまり、終戦までの数か月間については、日本の歴史において、最も悲惨な時期だったものと感じているが、今回の「デジタル革命バブル」を考えると、「2021年が、どのような年になるのか?」について、きわめて危機的な想いを抱かざるを得ないのである。

具体的には、「紙幣の大増刷」が世界的に実施され、「金融界の白血病」が世界全体を襲う事態のことでもあるが、基本的には、「大膨張したマネー」が、「目に見えないデジタル通貨」から「目に見える紙幣」に変化する状況のことである。別の言葉では、「デジタル通貨で成り立っている金融商品」が消滅することにより、「大量に印刷された紙幣が、一挙に、小さな市場規模の実物資産に流れ込む事態」のことである。

つまり、人類史上、最大規模の「ボトルネック・インフレ」が発生する可能性、すなわち、世界中の人々が、一斉に、「貴金属や食料品などに殺到する事態」を憂慮しているが、実際には、「日々刻々と、さまざまな商品価格が上昇中」という展開となっているのである。そして、この点に関して、驚かされる事態は、いまだに、「国家の借金が増えても問題はない」という意見が、頻繁に見られる状況である。

別の言葉では、いまだに「アベノミクス」に対する「過度な信頼感」が存在する状況とも思われるが、この点については、第二次世界大戦の時期に、「大本営発表」が繰り返され、また、「特高警察」の存在により、国民の行動が制限された状況が参考になるものと考えている。つまり、「日本国民の無明(むみょう)」という「どのような事態が発生しているのかを、国民が、ほとんど理解していなかった」という理由により、「1945年の日本」という悲惨な状況が発生したわけだが、この点を、現在の状況に当てはめると、「今回の方が、はるかに悪化した事態になっているのではないか?」とも感じている。