本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.1.16

「物不足」の正体

最近、株式市場では「物不足」という言葉が使われ始めているが、実際には、「半導体」のみならず、「貴金属や非鉄」、あるいは、「穀物」などが、需給関係の逼迫による価格上昇に見舞われている状況のことである。つまり、本当の意味での「インフレ(通貨価値の下落)」が発生している状況でもあるが、残念ながら、現在では、「時代遅れの経済学」が信じ込まれているために、全く現状説明ができない状態とも言えるようである。

別の言葉では、「現在、どのような商品と通貨が、どれほどの規模で存在するのか?」が理解できていないために、「増刷され始めた紙幣が、実物資産へ流れ込み始めた状況」を意味する「金融界のホーキング現象」が理解不能な状態となっているのである。つまり、「1971年のニクソンショック」以降、「デジタル通貨」の残高が急拡大しながらも、「デリバティブ」という金融商品に流れ込んでいたために、今までは、「旧来のインフレ指数が、きわめて低く抑え込まれていた状況」だったのである。

より具体的には、私が提唱する「信用本位制」という「前代未聞の通貨制度」の存在が理解されていないために、現在の「大量に創りだされた世界のマネーが、デジタル通貨の形で、コンピューターネットワークの中を自由自在に駆け巡っている状況」が認識されていない事態のことである。しかも、この結果として、「地球環境の悪化」を産み出し、今後は、「人類全体が、大自然から淘汰され始める可能性」までも存在し、特に、今回の「コロナ・ショック」については、その典型例のようにも感じられるのである。

そのために、これから必要なことは、いまだに存在する「約6京円ものデリバティブ」に関して、一刻も早く、実情が解明されるとともに、「金融システムの保全」のために実施されてきた「世界的な超低金利政策」から脱却することだと考えている。つまり、「デリバティブ」が産み出した「金融界のブラックホール」を理解することでもあるが、この点に関して、これから想定されることは、今後の「投資の成功者」が、この点を理解した人々になる可能性である。

具体的には、「実物資産への投資」のことでもあるが、この点に関する大きな問題点は、やはり、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊」のように、「大インフレにより、通貨そのものが、急激に減少する事態」である。また、「西洋の唯物文明が完全否定され、神様のみが信用される社会が産み出される可能性」でもあるが、このような悲劇が繰り返されないためには、「神の国」という当時の著書を熟読する必要があるものと感じている。