本間宗究(本間裕)のコラム
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2021.6.3
1970年代と2020年代との違い
現在、海外で議論されていることは、「1970年代と現在との類似点」であり、実際には、「スタグフレーションの再来懸念」や「貴金属価格の急騰予想」などである。しかし、私自身は、この点について、「大きな注意」が必要だと感じているが、実際のところ、「1970年代に発生したスタグフレーション」というのは、私が名付けた「信用本位制」の初期段階に発生した「金融混乱」であり、一方で、現在は、「信用本位制の崩壊に伴う金融混乱」とも言えるからである。
より詳しく申し上げると、「商品と通貨の時間的な変遷を、具体的な数字でとらえる方法」により、「1971年のニクソンショック以降、きわめて劇的な大変化が発生した状況」が見て取れるのである。具体的には、人類史上、初めて、「通貨と貴金属との関係性が切り離された」という事実により、「1970年代の金融混乱」が引き起こされたわけだが、当時の「金融市場」は、現在とは比較にならない程の「小さな規模」であり、また、「国家の財政」もきわめて健全な状態だったことも理解できるのである。
そして、最も注目すべき出来事は、やはり、「1980年代の初頭に誕生したデリバティブ(金融派生商品)」が、その後、「天文学的な金額」にまで大膨張した事実であり、その結果として発生した「デジタル通貨」の存在である。つまり、現在、必要とされることは、「実物(リアル)商品」と「金融(デジタル)商品」、そして、「実物(リアル)通貨」と「デジタル通貨」との違いを正確に理解することである。
より具体的には、本当の意味での「インフレ(通貨価値の下落)」を理解するためには、現在の「デジタル通貨がリアル商品へ流れ込み始めた事実」を認識する必要性が存在するわけだが、実際には、「金融界のブラックホールに隠されていたデジタル通貨が、徐々に、実体経済のリアル商品にしみ出した状況」のことである。別の言葉では、「2008年前後のGFC(金融大混乱)」、すなわち、私が想定する「金融大地震」以降、「デリバティブのバブル崩壊」を隠蔽するために、世界の主要な中央銀行が、結束して、「超低金利状態の蓋」で「金融界のホーキング放射」という「デジタル通貨の漏れ出し」を防いできた点である。
しかし、現在では、「デジタル通貨の枯渇」により、「紙幣」などの「リアル通貨」の発行を余儀なくされている状況となっており、その結果として、今後は、「国家財政の破綻」が伴う「1991年のソ連や「1923年のドイツ」などのような、本格的な大インフレが世界を襲う展開も想定されるのである。