本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2021.11.30

2021年を振り返って

「2021年」も、昨年に続き、「世界全体が、コロナショックに振り回された状況」だったが、注目すべき変化としては、「デフレからインフレへの転換が、知らないうちに終了していた可能性」だと考えている。つまり、現在では、「世界中の人々が、コロナと同様に、インフレを危惧し始めている状況」となっており、このことは、「コロナショック」による「実体経済のマヒ状態」から「金融危機」がもたらす「マネー経済のマヒ状態」への移行を意味しているものと思われるのである。

別の言葉では、「ハイパーインフレ」の発生要因として挙げられる点は、最初に、「実体経済の悪化」であり、その後に、「税収の落ち込み」、そして、「国債の買い手不在」などがもたらす「国家財政の破綻」とも理解できるのである。つまり、過去100年間に、30か国以上で発生した「ハイパーインフレ」については、基本的に、「先進国や後進国の違いにかかわらず、同じ条件下で発生する」ものと想定されるのである。

そして、この点に関して注意すべき事実は、「1971年のニクソンショック以降、主要な先進各国だけが、ハイパーインフレとはかけ離れていた状態」であり、この理由としては、やはり、私が提唱する「信用本位制の存在」が指摘できるものと考えている。つまり、大量に創られた「デリバティブ」と「デジタル通貨」の存在により、「先進各国は、人類史上、未曽有の規模で超低金利状態を維持できた」という事実である。

あるいは、「デジタル通貨の存在により、未曽有の規模での経済成長を達成できた事実」でもあるが、現在では、すでに、「実体経済のマヒ状態」が始まった段階とも想定されるのである。つまり、「根のない切り花」のとおりに、「表面上の繁栄」は継続しているものの、「根底に必要な信用が枯渇した状態」となっており、このことは、たいへん近い将来に、「表面上の繁栄が、あっという間に崩れ去る可能性」を示唆しているのである。

より具体的には、「金融界の白血病」という「大量に増刷された紙幣が、コンピューターネットワークの中を流れることができなくなる可能性」であり、このような状況下では、現在の経済的な繁栄が、一挙に、崩れ去る可能性も存在するのである。つまり、「取引の決済」に関して、「長い時間」と「大きなコスト」が必要とされる可能性のことでもあるが、この点については、「デリバティブのバブル崩壊」、そして、「国債価格の暴落(金利の急騰)」という事態に見舞われた時に、世界中の人々が気付かざるを得なくなり、しかも、タイミング的には、きわめて近い将来のことだと考えている。