本間宗究(本間裕)のコラム
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2021.12.8
ビットコインの投資指標
12月8日付の日経新聞では、「ビットコインの投資指標や適正価値を探る動き」が紹介されていたが、今後は、この流れが加速し、実際には、「デジタル通貨や預金などの適正価値を、歴史を遡りながら理解しようとする動き」に変化するものと考えている。つまり、「金利の上昇」や「物価上昇」などに伴い、現在の「異常な規模に大膨張した世界のマネー」について、さまざまな議論や意見が出るものと思われるが、このことは、「世界中の人々が、お金の謎を考え始めた状況」とも言えるようである。
別の言葉では、「1987年のブラックマンデーで衝撃を受け、お金の謎を考え始めた自分自身の過去が思いだされる状況」でもあるが、実際には、「既存の経済理論」が役に立たず、「具体的な数字を検証しながら、自分自身で新たな理論の構築が必要だった」という状況だったのである。より具体的には、「金融システムのメカニズム」や「デリバティブの実情」、そして、「通貨と商品との関係性」などを、根本から考え直す必要性に迫られたわけだが、現在では、ほとんどすべての状況が説明可能なものと感じている。
つまり、「時間の経過とともに、どのような商品が産み出され、また、その時に、どれほどの通貨が創り出されたのか?」を理解することが重要なポイントだと考えているが、この時に、最も理解が難しかったのが、いわゆる「金融商品」と呼ばれるものの「性質」だった。別の言葉では、「商品と通貨の両方の性質を有しながら、フローである商品の性質が消滅しても、ストックであるマネーの性質が残り続ける展開」のことである。
より詳しく申し上げると、「1971年のニクソンショック」以降、「信用本位制」という全く新たな通貨制度の下で、さまざまな「金融商品」が産み出されたわけだが、冒頭の「ビットコイン」については、「金融商品の一つであり、また、最新の産物である状況」とも想定されるのである。そのために、「今後、どのような未来が待っているのか?」を考えると、実際には、「デジタル通貨と同様に、紙幣の増刷により、短期間のうちに消滅する可能性」が予想されるのである。
つまり、「1600年前に発生した西ローマ帝国の崩壊」により激減を始めた「マネーの総量」は、その後、「西洋のルネサンス」以降、徐々に膨張を始めたものの、「過去50年間は、異常なまでの大膨張を記録した展開」となったことも理解できるのである。別の言葉では、これから予想される展開は、「1600年前」と同様に、今後の数年間で、すべての「歪み」や「異常さ」が訂正される可能性とも想定されるのである。