本間宗究(本間裕)のコラム
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2021.12.9
ゼロ金利が当たり前となった日本人
1999年から始まった「日本の実質的なゼロ金利」は、2022年で「23年目」を迎えるが、現在の状況としては、「多くの人々が、金利の上昇や金融の正常化を見込み始めた段階」とも言えるようである。つまり、「ゼロ金利が、人類史上、どれほど異常な事態だったのか?」を認識し始めるとともに、「これから、どのような展開が待っているのか?」を考え始めた状況のことである。
別の言葉では、「ゼロ金利が当たり前となった状態」に関して違和感を持ち始めた状況とも思われるが、興味深い点は、「ケインズ」が指摘するとおりに、「どのような異常事態であろうとも、数十年間の継続という事実により、人々の常識が変化する」という事実である。つまり、「19世紀から20世紀の英国で発生した金利低下、そして、国債価格の上昇」について、「30年間も継続すると、人々の常識が変化する」というように、正確な指摘を行ったわけだが、その後の展開としては、「1923年に発生したドイツのハイパーインフレにより、あっという間に、金利低下の神話が崩壊した状況」だったのである。
そして、今回も、同様の展開が想定されるわけだが、興味深い事実としては、「100年前の西洋」が「現在の世界情勢」と「フラクタル(相似形)」の関係となっている可能性である。つまり、「スペイン風邪の流行」の後に「ドイツのハイパーインフレ」が発生した展開が、現在の世界情勢と重なって見えるわけだが、この点については、前述の「イギリスの金利低下」も当てはまるものと感じている。
このように、現在の「ゼロ金利」や「マイナス金利」については、たいへん近い将来に、「デリバティブのバブル崩壊などにより、あっという間に、消滅する可能性」が高くなっているものと考えているが、この点に関して、最も難しかったのが、やはり、「タイミング」の問題だった。つまり、私自身の「最初の検証」だった「11月23日のXデー」については、私が想定するような出来事が発生しなかったわけだが、実際の展開としては、「原油備蓄の放出」であり、「政府が、依然として、商品価格のコントロールを継続しようとする態度」だったことも見て取れるのである。
そのために、現時点で必要なことは、「時間の問題でデリバティブのバブル崩壊が発生する可能性」を考慮しながら、「1923年のドイツのハイパーインフレ」を研究することであり、実際には、現在が、「1922年前後の状況である可能性」を、深く認識する必要性とも言えるようである。