本間宗究(本間裕)のコラム
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2021.12.16
マネーの残高と流通速度
12月15日に開催された「米国のFOMC」では、「テーパリングの加速」や「2022年に3回の利上げ可能性」などが顕著になったが、今後の展開を判断する時には、「1923年に発生したドイツのハイパーインフレ」も参考になるものと考えている。つまり、今回の「先進各国における大インフレ」については、「既存の経済学」だけではなく、「新たな理論」が必要とされる状況とも考えているが、実際には、「現在、どのようなマネーが存在し、また、どれほどの残高と流通速度になっているのか?」ということである。
より詳しく申し上げると、「1971年のニクソンショック」以降に創り出された「デジタル通貨」については、「1980年代初頭に誕生したデリバティブの成長により、ピーク時に約8京円という規模にまで大膨張した」という状況だったことも見て取れるのである。ただし、この時に必要なことは、「仮想現実と金融商品の存在」を理解することであり、実際には、「世界的なコンピューターネットワークの中で、世界中の人々がマネーゲームを繰り広げていた状況」のことである。
つまり、「お金は神様であり、お金があれば何でもできる」と信じた人々が、「地球環境の悪化」などを無視して、「デジタル通貨の奪い合い」に没頭した状況のことだが、現在の問題点は、「デジタル通貨の枯渇」であり、また、「現実世界への資金流入」とも考えられるのである。別の言葉では、「大量に存在する現代のデジタル通貨が、紙幣に変化して、現実世界になだれ込み始めた状況」のことだが、このような状況下で理解すべき点は、「マネーの残高と流通速度」とも言えるのである。
より具体的には、「大量に発行される紙幣が、回転速度を上げた時に、どれほどの需要が発生するのか?」ということでもあるが、現在は、「1922年8月時点のドイツ国民」のように、「ハイパーインフレの発生を、ほとんど信じていなかった状況」とも理解できるのである。つまり、「不都合な真実を考えたくない心理状態」であり、また、「マスコミの報道に惑わされている状況」のことだが、これから予想される展開としては、やはり、「現在のギャロッピング・インフレが、たいへん近い将来に、ハイパーインフレに移行する可能性」とも言えるのである。
つまり、「金利やインフレ率が10%台を超えた時から、約6か月間のハイパーインフレが発生する状況」を想定しているが、現時点では、「2023年の8月が、ハイパーインフレのピークになる可能性」を想定している次第である。