本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.12.22

トルコの金融混乱

数年前から始まった「トルコの金融混乱」は、現在、更なる深みへ導かれている状況となっている。具体的には、「通貨の防衛」のために、「金利の引き上げ」ではなく「金利の引き下げ」を実施したものの、結果としては、明らかな「失策」となり、今度は、「預金の保護策」を発表した展開のことである。つまり、一時的な「時間稼ぎ」が可能だったものの、「将来的に、再度、より大きな混乱状態が発生する状態」のことであり、この点は、たいへん近い将来に、先進各国で繰り返される状況を想定している。

そのために、今回は、「何が問題だったのか?」、そして、「どのような解決策が可能だったのか?」などについて考えてみたいが、基本的には、「実体経済」を上回る規模での「マネー経済」の存在が、さまざまな混乱を引き起こしたものと考えている。つまり、「為替」と「金利」には、「国家の体力」を判断するバロメーターとしての役割が存在するが、今後は、この点が、「先進各国の金融政策」に大きな意味を持つものと想定されるのである。

より詳しく申し上げると、現在の「トルコ」は、かつての「ソ連」や「ジンバブエ」などの国々のように、「国家の信用」が失われ、その結果として、「為替の暴落」と「金利上昇」に見舞われた状況とも言えるが、今回、驚かされた点は、「金利の引き下げ」や「国家による預金保護策」などの「前代未聞の奇策」が発表された事実である。別の言葉では、「常識的な理論とは違った政策を実施している状況」だったが、実際には、「一時的な時間稼ぎが可能となったものの、その後に、より大きな反動が発生する展開」となったのである。

そして、この点については、これから想定される「先進各国の金融大混乱、あるいは、大インフレ」に関して、「他山の石」としての役割が存在するものと思われるが、実際には、「小手先の政策」が混乱を収める効果を持たず、最後には、「古典的な解決策である大インフレ」に頼らざるを得なくなる展開のことである。別の言葉では、「大膨張した世界のマネーが、大量の紙幣に置き換わる状況」のことでもあるが、このことは、「フローである実体経済」と「ストックであるマネー経済」に関して、最後の段階で、必然的に発生する現象とも言えるようである。

より具体的には、「1600年前の西ローマ帝国」と同様に、「大膨張したマネーが、いわゆる『悪魔のひき臼』となり、精神的な堕落と財政破綻を引き起こした展開」のことであり、実際のところ、これから想定される「世界的な金融混乱と大インフレ」については、想像を絶するほどの規模になるものと感じられるのである。