本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.1.5

減少を始めた日銀の国債保有残高

1月5日付けの日経新聞では、「日銀の国債保有残高が、13年ぶりに減少を始めた可能性」が指摘されており、このことは、「政府による価格統制」が限界点を迎えた状況を表すだけではなく、「今後の金融大混乱」を示唆しているものと考えている。具体的には、「2008年前後のGFC (金融大混乱)」が「金融の大地震」であり、その後、「インフレの大津波」が、「量的緩和(QE)」の名のもとに押し寄せてきている状況のことである。

より具体的には、「日本の土地バブルの約30倍」という規模にまで膨らんだ「約8京円ものデリバティブのバブル崩壊」を隠すために、「日米欧の中央銀行が、国債の大量買い付けという、人類史上、空前絶後の愚策を実施した」というのが、今回の「量的緩和の実情」だったものと思われるが、現在では、いよいよ、「すべての手段が使い果たされ、紙幣の増刷以外に、打つ手が残されていない状態」に追い込まれたものと想定されるのである。

つまり、「2008年末に63兆円」という規模だった「日銀の国債保有残高」については、その後、「2021年11月末の時点で約529兆円」にまで大膨張したわけだが、このことは、「日銀が、国民の預金などを借りて、国債を買い付けた状況」を意味しているのである。別の言葉では、決して、中央銀行が行ってはいけない「財政ファイナンス」、すなわち、「政府の発行した国債を中央銀行が購入する」という行為を、実質的に、「日銀を始めとして、先進各国が大々的に推進した状況」とも言えるのである。

そして、結果としては、「未曽有の規模でのデジタル革命バブル」や「マイナス金利」などの発生により、「超低金利状態が継続し、国家の財政危機が隠蔽可能な状況」でもあったが、これほどまでの異常事態については、その後の反動に注目すべき状況だったことも理解できるのである。つまり、現在では、「民間金融機関に支払う金利が、保有国債から得られる金利収入を上回る逆ザヤに陥るリスク」が指摘されるとともに、「700兆円以上にまで大膨張した日銀のバランスシートに関する出口戦略」が危惧され始めているのである。

別の言葉では、「1971年のニクソンショック」から始まった「世界的な信用本位制」という通貨制度に関して、「主たる貨幣であるデジタル通貨」が枯渇を始めたことにより、「金融システムや通貨制度の崩壊」までもが危惧される状況のことである。そして、このことが、私が最も危惧する「金融界の白血病」を意味しているが、この点については、現在、「私以外に、誰も指摘していない状況」、すなわち、「バブル期に特有の、崩壊しなければ理解されない状態」のようにも感じている。