本間宗究(本間裕)のコラム
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2022.1.25
中国不動産バブル崩壊の実情
1月25日付けの日経新聞に、「中国不動産バブル崩壊の実情」に関する記事が掲載されていたが、この中で推計されていた「95.6兆ドル(約1京900兆円)」という「中国の住宅時価総額」から判断できることは、「日本の土地バブルの約4倍」という規模であるとともに、「日本とは違い、問題の先送りができない状況」だと言えるようである。つまり、「現在の中国」と「30年ほど前の日本」の不動産バブルとの違いについては、「バブルの発生については、極めて似た状況だったものの、バブル崩壊後の展開に、大きな違いが存在する可能性」が指摘できるものと思われるのである。
より具体的に申し上げると、「不良債権の発生」と「金融システムへの影響度」に関して、「30年前と現在とでは、きわめて大きな違いが存在するのではないか?」と考えているが、実際には、「想定元本の約1割」と言われる「不良債権の総額」に関して、「民間金融機関と中央銀行が、今後、どのように処理するのか?」ということである。別の言葉では、「日本の土地バブル崩壊」の場合には、その後、「欧米を中心にしたデリバティブのバブル発生」により、「超低金利状態の維持」が可能となり、その結果として、「約30年間の時間をかけて、徐々に、民間の不良債権を償却した」という状況だったのである。
ただし、この時の副作用として発生した現象は、「国家の債務膨張」だったが、この点については、「民間金融機関の簿外取引として実施されたデリバティブ」と「中央銀行のバランスシート」を大膨張させることにより、問題の先送りが可能な状況だったのである。つまり、現在の中国は、「不動産バブルの崩壊」が発生しながらも、「30年前の日本」とは違い、「金利上昇により、きわめて短期間のうちに、多額の不良債権が金融システムを崩壊させる可能性」が危惧される状況となっているのである。
そして、このことが、「海中に押し込められたビーチボールが、急速に、水面上に浮上し始めたような状況」、すなわち、「世界の金利とインフレ率が、今後、急速に上昇する可能性」を示唆しているものと想定されるのである。具体的には、「中国の住宅時価総額の約1割」である「約1100兆円」もの不良債権が発生する可能性である。
しかも、今回は、「欧米のデリバティブバブル崩壊」と重なるために、現在では、「コロナショック」という「新型のインフルエンザ問題」から、「世界的な大インフレ」という「新型のインフレ問題」への移行が始まった状況であるとともに、タイミングについては、「待ったなしの状況」のようにも感じている。