本間宗究(本間裕)のコラム
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2022.1.22
米銀の一人勝ち状態
1月21日付けの日経新聞では、「米銀の一人勝ち状態」に関する記事が掲載されていたが、このことも、「GAFAMのバブル」と同様に、現在、最も注意すべきポイントだと考えている。つまり、過去20年余りの期間に発生した現象は、「デリバティブの大膨張と、その後に発生した金融のメルトダウン」であり、この点が理解できない場合には、「今後、どのような事態が訪れるのか?」に関しても、全くのお手上げの状態になるものと想定されるのである。
別の言葉では、「1971年のニクソンショック」以降、私が主張する「信用本位制の通貨制度」が具現化した結果として、「実体経済の約10倍」の規模となった「マネー経済」が出現した状況だったことも見て取れるのである。そして、結果としては、「仮想現実の世界に閉じこもった人類が、ゲーム感覚でお金儲けに励んだような状態」となったわけだが、現在では、「紙幣の増刷が、世界各国で、徐々に始まった結果として、実物商品の価格が急騰を始めた段階」とも言えるのである。
より具体的には、「海中に押し込められたビーチボールが、急速に、水面上に浮上し始めたような状態」のことでもあるが、これから想定されることは、「1923年のドイツ」などと同様に、「中央銀行が大量の紙幣を増刷して、中央銀行のバランスシートを急拡大させる展開」とも言えるのである。つまり、「バランスシートの収縮」という「大恐慌を誘発するような金融政策」ではなく、反対に、「バランスシートの急拡大」という「大インフレを誘発する金融政策」への大転換のことである。
そして、このような状況下で予想される展開は、「1991年のソ連」などと同様に、「あっという間に、物価が上昇し、通貨の価値が激減する事態」とも思われるが、今回の注意点は、やはり、「一国だけの問題ではなく、世界的な金融混乱となる可能性」とも言えるのである。そのために、現時点で必要なことは、「金融界の白血病」という「紙幣が、コンピューターネットワークの中を流れることができない事態」に関して、世界全体で、真剣に議論することだと感じている。
つまり、これから想定される「マネー経済のマヒ状態」に関しては、「コロナショック」という「実体経済のマヒ状態」と比較して、「約10倍の規模」となるものと思われるために、今後、必要とされることは、「軍備費の拡張」などではなく、反対に、「世界的な知恵の結集」だと考えている次第である。