本間宗究(本間裕)のコラム
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2022.2.10
インフレを巡る議論と行動
現在は、「インフレ」を巡って、さまざまな議論が噴出している状況とも言えるが、一方で、「どれほどの人が、インフレへの備えを実施しているのか?」という行動面を考えると、実際には、「なぜ、物価上昇が発生するのかが理解できず、希望的観測だけで、インフレ率の低下を望んでいる状況」とも理解できるようである。つまり、「歴史的な推移」を無視した「経済理論の禅問答」とでも呼ぶべき状況となっているために、「時間の経過とともに、混乱状態が加速している展開」とも想定されるのである。
別の言葉では、「なぜ、20年以上も、日本を中心として、超低金利状態が継続したのか?」を考えなかったために、現在の「金利やインフレ率の上昇」により、一種の「思考停止状態、あるいは、混乱状態」に陥っている状況とも思われるのである。しかし、この点については、「DX革命の将来」とも、深く関わっているために、決して、避けては通れない問題とも言えるようである。
具体的には、「デジタル通貨の運命」、すなわち、「今後、世界の通貨は、どのような変化を見せるのか?」が、現在、最も重要視されている問題でありながら、実際には、「金利の上昇後に、どのような世界が待っているのか?」を、誰も考えようともしない状況となっているのである。そして、今までと同様に、「過去の延長線上に未来は存在する」というような、誤った考えに支配されているものと思われるが、このような状態に水を差すのが、現在の「急速な金利上昇」とも考えられるのである。
つまり、今までは、「世界的なマイナス金利の存在」により、「負債の残高」が、ほとんど無視されていた状況だったものの、現在では、「マイナス金利から急速な脱却」が進展することにより、「誰が金利を負担するのか?」に注目が集まり始めたものと考えられるのである。別の言葉では、「金利を払う」という認識そのものが、今までは、無視可能な状況だったようだが、現在では、多くの人々が、急速に、「金利負担を含めた資金繰りの問題」に直面し始めているのである。
そして、実際の行動として、「実物資産の確保」を始めたものの、「オカネはあってもモノがない」という非情な現実に突き当たったものと思われるのである。つまり、「大量に存在したデジタル通貨」については、「仮想現実の世界でしか役に立たない」という事実を理解し始めた人々が、現在、急速に、増えており、今後は、「世界中の人々が、この事実に気付くまで、インフレ率が加速する状況」も想定されるようである。