本間宗究(本間裕)のコラム
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2022.3.30
信用本位制の崩壊
現在の「世界的な金利上昇」や「為替市場の混乱状態」については、典型的な「金融システムの崩壊」を表しているものと思われるが、実際には、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制」という、「全く新たな通貨制度」が崩壊を始めている状況のことである。つまり、「5000年ほど前に、人類が発明したマネー(お金)」に関して、「1971年」までは、「金(ゴールド)という実物資産が、真のお金(オカネ)である」という理解がなされていたが、50年ほど前に起こったことは、「資金繰りに窮した米国のニクソン大統領が、一時的な金と通貨との交換を停止した」という状況だったのである。
そして、その後は、「糸の切れた凧」のような状態となり、「マネーの大膨張」が始まったわけだが、実際には、「デリバティブ」という「金融商品」と、「デジタル」という「単なる数字」へと形を変えた「現代の通貨」が、天文学的な規模にまで膨らんだのである。また、過去20年間余りの「世界的な超低金利状態」については、「大膨張したデジタル通貨が、大量の国債買い付けに使われ、最後の段階では、マイナス金利まで発生した」という状況だったことも見て取れるのである。
より詳しく申し上げると、当時は、「一時的な金本位制の停止」と言われたものの、実際には、「経済学者のケインズ」が指摘するとおりに、「新たな通貨制度が約50年間も継続した」という展開となったのである。そして、この時に、きわめて大きな役割を果たしたのが、世界的な「コンピューターネットワーク」の誕生であり、実際には、「デジタル通貨が、ほぼ瞬間的に、世界全体を駆け巡ることが可能な状態」となったことである。
つまり、結果としては、「人類史上最大のバブル」が産み出されたわけだが、「どのようなバブルも、必ず、破裂する運命にある」ということが「歴史の教訓」であり、今回も、例外ではなかったことが実証され始めているのである。しかも、「2019年9月17日」に発生した「米国の短期金利上昇」が「金融システムに開いた蟻の一穴」であり、その後は、「コロナショックによる実体経済のマヒ状態」を経て、現在では、「大量に存在するデジタル通貨」が、徐々に、「紙幣」に形を変えて、「実物資産」へ流れ始めているのである。
そして、このことは、「1991年のソ連」や「1923年のドイツ」などで発生した現象と似たような状況でもあるが、今回の問題点は、いまだに、「管理通貨制度」などという言葉が使われ、「過去50年間に、どのようなことが起こったのか?」が、ほとんど理解されていないことにあるものと感じている。