本間宗究(本間裕)のコラム
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2022.6.7
秩序からカオスへの転換メカニズム
「複雑系の科学」では、「秩序とカオス」や「画一性と多様性」などの関係性が重要視されているが、この点に関して、参考となるのが、「バブルの発生と崩壊のメカニズム」のようにも感じている。つまり、「人々の意識と行動が画一化された時に、バブルがピークを迎える状況」を想定しているが、この時の「秩序の状態」を考えると、実際には、「カオスの縁」の状態にあるものと考えられるのである。
より詳しく申し上げると、今回の「DXバブル」や「デリバティブのバブル」などからも明らかなように、「GAFAMなどのハイテク銘柄は、今後も株価の上昇が続く」という認識を、ほとんどの人が持ち、実際の行動に移した時に、「バブルのピーク」、すなわち、「上昇エネルギーの枯渇」が発生するものと考えられるのである。別の言葉では、「一定の秩序」が出来上がった後に、「エントロピー増大の法則」が指摘する「意識の多様化」、すなわち、「バブルの崩壊」や「カオス的な状態への移行」が始まる展開のことである。
そして、「バブルの完全崩壊」の状態、すなわち、「多くの人々が、バブル崩壊の痛みを感じるとともに、自分の失敗に対する気付きを得る段階」になって初めて、「新たな秩序の形成」に向かい、人々の挑戦が始まるものと想定されるのである。別の言葉では、「急速な経済成長は、商品とサービスの多様性が閾値(いきち)を超えた時に始まる」という「複雑系の理論」が教えるとおりに、「多様化の増加」が、「経済などの成長」にとって、大きな役割を果たしている可能性である。
また、この時に重要な点は、「多くの人々が、バブル崩壊の痛みにより、さまざまな気付きを得る状況」であり、このことが、「ヘーゲルの弁証法」や「仏教の悟り」などが教える「天の蔵からの智慧の獲得」とも思われるのである。つまり、「エジソン」が主張する、「99%の努力」の結果として産み出される「1%の閃き」であり、このことが、「人間世界」と「法界(ほっかい)」とを繋ぐ「ストリング(紐)」のようにも感じられるのである。
しかも、この時には、「物理学」が教える「四つの力」が働いているものと想定されるが、この点については、現時点において、単に「私自身の仮説」にすぎず、今後、より多くの検証が必要な状況とも考えている。別の言葉では、すでに破綻した「既存の理論」に囚われず、全く新たな視点からの考察が必要な状況とも思われるが、このことが、「進化と創造のメカニズム」であり、また、「ヤスパース」が主張する「枢軸時代」が発生する理由の一つではないかと考えている。