本間宗究(本間裕)のコラム
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2022.6.8
中国の金融破綻防止基金
6月8日の日経新聞に、「中国の不良債権問題」に関する記事が出ているが、この点については、「30年前の日本」が参考になるとともに、また、「当時と現在との違い」が、大きな意味を持ってくるものと考えている。具体的には、「不動産バブルの崩壊」や、その後の「不良債権の発生と移行」に関して、「現在の中国」と「30年前の日本」とで、ほとんど同じメカニズムが働いている状況のことである。
しかし、一方で、「今後の動向」については、全く違った展開を想定しており、その理由としては、「金利の動向」と「デリバティブのバブル」が指摘できるが、実際には、「30年前の日本」において「金利の低下とデリバティブの大膨張により、不良債権の処理に関して、時間的な余裕が存在した状況」だったのである。ところが、現在の「中国」に関しては、「不良債権の総額」や「金利負担の見積もり」などおいて、きわめて曖昧な状況であり、また、今後は、急速な金利やインフレ率の上昇も想定されるのである。
より詳しく申し上げると、「時価総額の約1割」と想定される「不良債権の総額」に関して、「30年前の日本では、約300兆円」、そして、「今後の中国では、4倍程度の約1200兆円」という状況が想定されるが、今回の記事では、「金融破綻の防止基金」として「約10兆円程度の資金」しか準備されていないことも見て取れるのである。しかも、今回は、「世界的な金利とインフレ率の急騰」や「デリバティブのバブル崩壊」という状況下でもあるために、今後は、「民間企業から民間金融機関、そして、中央銀行へ」という「不良債権の移行」が、きわめて短い期間で発生するものと想定されるのである。
そのために、今後の注目点は、「中国」において、「民間の金融機関や中央銀行に、どれほどの混乱が発生するのか?」ということであり、また、「世界全体で、インフレや金融大混乱が、一斉に発生する可能性」とも想定されるのである。つまり、「ロシアや中国などによる、時代錯誤的な帝国主義的行動」により、今までの矛盾や問題点が、一挙に噴出する可能性のことでもあるが、実際には、「約1600年」という時間をかけて積み上がった「現代のマネー(お金)」が、一挙に、雲散霧消する可能性とも考えている。
そして、今後は、数多くの「小さな共同体」に分裂し、世界中の人々は、「なぜ、このようなことが起こったのか?」を、真剣に悩み始めるものと思われるが、この時の「救い」となるのは、やはり、「11次元にまで進化した自然科学」であり、また、「社会科学の次元上昇を求める意識」だと考えている。