本間宗究(本間裕)のコラム
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2022.7.11
聖アウグスティヌスが観た世界
30年ほど前から「文明法則史学」を勉強し始めたが、その時、最も気にかかった人物は、私と、ちょうど1600年違いの年に誕生した「聖アウグスティヌス(西暦354年-430年)」だった。つまり、「西ローマ帝国の崩壊を、実際に経験した人が、どのような意見を述べていたのか?」に、大きな注目をするとともに、著書である「告白」や「神の国」などにより、当時の状況が、ある程度、推測が可能なものと感じられたのである。
具体的には、「パンとサーカスの堕落した生活」や「財政赤字とインフレによる社会的な混乱」などが引き金となり、「歴史上からは、あっという間に、西ローマ帝国が滅んだ」という状況のことである。そして、このような世界を、実際に観た聖アウグスティヌスは、「神の国の偉大さ」を強調した結果として、「その後、1500年間に渡り、西洋の精神世界に、大きな影響を与えた」とも言われているのである。
別の言葉では、「民主主義の堕落が衆愚政治に繋がり、その後、軍事力や資金力に隷従する人々が、専制政治に従わざるを得なくなった状況」を経験した結果として、「より強い力や存在」を求めたものと思われるのである。そして、この点については、「1600年後の現在が、ぴったり当てはまる状況」であり、「これから、どのような時代が訪れるのか?」、あるいは、「人々が、何を求めているのか?」については、「神の国」という著書が参考になるものと思われるのである。
より詳しく申し上げると、私自身の「心の座標軸」において、「過去800年間、人々が求めてきたものは、究極の物質とも言えるマネー(お金)」だったものと思われるが、この過程で発生した変化は、「人類が最高の存在である」というような認識がもたらした「民主主義」であり、また、「マネーの大膨張」だったものと想定されるのである。そして、その後の変化としては、「お金さえあれば、人生は安泰だ」というような「堕落した安易な思想」に染まった人々が、「より強い権力」を求め始めた可能性でもあるが、「1600年前の状況」を考えると、今後は、「専制主義」から「神の時代」への移行も予想されるのである。
ただし、今回の注目点は、「技術や学問の進化」や「巨大なインフラの存在」などにより、「より進化した世界への移行」のようにも感じているが、気になるポイントは、やはり、「現代の神様」なった「世界のマネー」が価値を失った時に、「どれほどの大混乱が世界を襲うのか?」ということであり、また、「世界中の人々は、何を求めて、人生を送り始めるのか?」ということである。