本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.7.12

新たな資本主義を巡る議論

現在、「新たな資本主義」を巡る議論が活発に行われているが、この点に関して驚かされたことは、「株主と従業員のどちらを重要視すべきか?」という論争だった。つまり、「株式価値の最大化のためには、株主と従業員に、どのような利益配分を行うべきか?」という議論が、いまだに行われているが、このことは、「40年ほど前のアメリカ」や「200年ほど前のヨーロッパ」を彷彿とさせるような状況とも思われるのである。

具体的には、「プロレタリアート(労働者)」と「ブルジョアジー(資本家)」との関係性が議論された状況、あるいは、「1980年代に、日本的経営が、アメリカで見直された状況」のことである。つまり、現在は、「三次元の経済学において、禅問答が繰り返されている状態」のようにも感じられるが、実際に必要なことは、「時間とともに、世界情勢が、どのように変化するのか?」を考慮する「四次元の経済学」とも言えるのである。

より詳しく申し上げると、「商品と貨幣が、過去200年間に、どのような変化を遂げたのか?」を分析することでもあるが、実際のところ、「商品」に関しては、「一次産品」から「二次産品」、そして、「三次産品から金融商品へ」という展開となっていることも見て取れるのである。そして、この時に、最も注目すべきポイントが、「商品の変化に伴う実体経済の成長」であり、また、「どのような貨幣が、それぞれの段階で、どれだけ創出されたのか?」を考えることとも言えるのである。

別の言葉では、「過去200年間に、商品のみならず、貨幣の価値と形態が、大きく変化した状況」であり、また、「シニョリッジ(貨幣発行益)が、銀行預金や紙幣、あるいは、デリバティブの創出時に大量発生した可能性」を理解することである。そして、これから必要なことは、「過去数百年間に、資本(お金)が、なぜ、主義(最も大切なもの)と理解されるようになったのか?」の分析であり、また、「文明法則史学」を研究しながら、「これから、世界中の人々が、どのような価値観を持つのか?」を探求することだと感じている。

つまり、「不毛な堂々巡りの議論」を排除して、「経済学を、より進化させる努力」の必要性でもあるが、この点について、危機感を覚えることは、「人類そのものが、地球環境の変化で存在を許されなくなる可能性」であり、また、「このような状況下で、依然として、領土や資産の奪い合いが実行されている状況」である。つまり、現在、必要とされることは、「軍事費の増強」ではなく、「環境対策への支出」であり、結局は、このことを実行した国々が、今後の「世界のリーダー」になるものと思われるのである。