本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.7.27

ジンバブエの金貨本位制

過去20年あまり、激烈なハイパーインフレに悩まされてきた「ジンバブエ」は、7月に「自国の法定金貨の発行」に踏み切ったが、具体的には、「ビクトリアの滝の画像を持つ1オンス、22カラットの金貨」を、国民に向けて発売するというものである。別の言葉では、「1933年までのアメリカ」などで採用されていた「金貨本位制」のような通貨制度を目指す動きのようにも思われるが、現時点では、ほとんどの人が懐疑的な認識を持っている状況とも言えるようである。

より詳しく申し上げると、「ジンバブエのハイパーインフレ」については、「2008年9月に、4、890億%のインフレ率を記録し、買い物客は食料品を買うのに紙幣が詰まったゴミ袋を持ち歩いていた」というような状況だったものが、その後、「自国通貨を放棄し、米ドルを採用した」という展開にまで発展したのである。つまり、かつては、「南部アフリカの優等国・穀物倉庫」と言われたほど裕福だった国が、「独裁者の出現などにより、わずかな期間で、どん底にまで落ちた典型例」とも言えるのである。

そのために、私自身としては、今回の「通貨制度の変更」に関して、大きな期待を抱いている状況でもあるが、実際には、「安定した通貨の発行」により、「実体経済」と「マネーの流通量」との関係性が修復される可能性のことである。つまり、過去のハイパーインフレを検証すると、ほとんどの場合において、「過剰な規模の通貨発行」が、主な原因であることが見て取れるのである。

しかも、「1971年のニクソンショック」以降は、「世界全体で、マネー大膨張の歯止めが効かなくなり、デジタル通貨が世界中に拡散された状況」だったことも理解できるのである。つまり、「世界全体が、ジンバブエのようなハイパーインフレの状態に陥る可能性」をはらんでいる状況のことだが、この点については、時間の経過とともに、より多くの人々が認識を深めている状況のようにも感じている。

具体的には、「中央銀行が破綻すると、どのような事態が訪れるのか?」を、多くの人々が真剣に考え始めた可能性のことでもあるが、実際に、現在では、「先進各国でハイパーインフレが発生する可能性」が高まっている状況とも思われるのである。つまり、「1991年のソ連」と同様に、「国債の買い手消滅」という事態に見舞われると、ほぼ瞬間的に、「ハイパーインフレの発生」が想定されるが、この点については、現在、「待ったなしの状態」となっているようにも感じている。