本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.8.28

2022年のジャクソンホール会議

8月に米国で開催された「2022年のジャクソンホール会議」については、将来的に、「ハイパーインフレの発生を容認した会議だった」と言われるものと考えている。つまり、「2021年の会議」で用いられた「一過性のインフレ」という言葉に関して、「一年間の検証」を経た結果、この予想が全くの誤りであり、今後は、「本格的な金融大混乱」、すなわち、「世界的なハイパーインフレの発生」が避けられなくなった状況が、広く認識されたものと想定されるのである。

より詳しく申し上げると、「過去一年間の変化」として挙げられる事実は、最初に、「米国株のバブル崩壊」であり、また、「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻」、そして、「中国不動産バブルの急激な崩壊」でもあった。そして、このことは、「2008年前後のGFC(金融大混乱)」、すなわち、「世界的な金融大地震」により発生した「世界的なインフレの大津波」が、世界中の人々の目に見え始めた状態とも理解できるのである。

別の言葉では、「先進各国の金融当局者」が、今まで、ありとあらゆる手段を行使して、「金融界の大量破壊兵器」と呼ばれる「デリバティブのバブル崩壊」を隠蔽しようとしてきた状況が、現在では、時間的、かつ、物理的な限界点に到達した段階とも考えられるのである。つまり、過去10年以上の期間、水面下に隠されていた「インフレの真因」が、「金利の上昇とともに、表面化してきた状況」のことである。

そのために、これから必要なことは、「いまだに約500億ドルもの残高が存在するOTCの金利デリバティブ」に関して、「この問題が解決しない限り、インフレが加速していく状況」を理解することである。別の言葉では、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制」と呼ぶべき通貨制度において、「デジタル通貨が、人類史上、未曽有の規模にまで大膨張した状況」を、正確に認識することである。

あるいは、「異常気象の原因の一つが、借金漬けの経済成長である可能性」を、詳しく吟味することでもあるが、現在、このような状況下で繰り広げられている事実は、残念ながら、「東西冷戦構造の復活」とも言えるのである。つまり、いまだに、「西洋文明」を象徴する「奪い合い」が、世界的に繰り広げられている構図のことでもあるが、今後の注目点は、やはり、「紙幣の大増刷とともに、デジタル通貨が、神様の立場から転落する展開」であり、また、「時間的な余裕がなくなった結果として、世界中の人々が仰天するような大事件が発生する可能性」だと感じている。