本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.10.24

シュペングラーの預言

10月23日に発表された「中国共産党の新たな最高指導者のメンバー」を眺めると、改めて、「100年ほど前のシュペングラーの預言」の正しさを再確認するとともに、「中国共産党の未来」が危ぶまれる状況のようにも感じている。つまり、「西洋の没落」という著書で、「シュペングラー」は、「19世紀と20世紀が、貨幣や民主主義が支配する事態となり、経済力が政治的形式と権利に浸透する時代になる」と述べていたのである。

そして、「21世紀と22世紀は、皇帝主義の完成により、貨幣に対する暴力政策の勝利する時代」となり、この時には、「大都市的な性格を備えた無形式の大衆が、内的に無形式の群衆に崩壊する展開」も想定していたのである。つまり、「貨幣の奴隷」となった「大都市的な性格を持つ大衆が、崩壊する貨幣価値に恐れおののきながら、信用できる人々と、小さな共同体を形成し始める展開」のことである。

別の言葉では、「習近平氏が目指しているマルクス主義的な社会」というのは、実際のところ、「大都市を中心に形成された高度な資本主義社会が崩壊し、数多くの小さな共同体(コミュニティー)へ分裂した状態」を意味しているものと思われるのである。より具体的には、「中国の歴史における三国志のような状況」のことであり、このことは、「14億の国民が、今後、分裂を始める事態」を意味しているものと考えている。

つまり、今回の共産党大会で明らかになった「中国共産党の内部分裂」は、今後、「中国全体の内部分裂」へと移行を始める事態が危惧されるが、この点に関して、大きな役割を果たすのが、実は、「習近平氏が期待している西洋諸国の金融混乱」とも考えられるのである。別の言葉では、「資本主義が崩壊後に、共産主義の時代が訪れる」というような「誤った考え」に囚われている「習近平氏」は、今後、「中国やロシアなどの国内が、西洋諸国以上の金融混乱に見舞われる可能性」を無視しているものと思われるのである。

より詳しく申し上げると、「デリバティブの大膨張」に関して、「最も恩恵を被ったのが、実は、中国だったのではないか?」と思われるために、すでに始まっている「世界的な金融混乱」に関して、「最も大きな被害を受けるのが、中国となる可能性」を想定している次第である。しかも、「14億の国民」を抱えているために、「食糧難やエネルギー難などに対して、どれほどの対応が可能なのか?」が危惧されるとともに、「独裁色」を強めた「習近平政権」、あるいは、「時代錯誤的な社会主義革命」に対する風当たりが、より一層、強くなる状況も予想されるものと感じている。