本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.11.8

中央銀行の破たんメカニズム

現在、「中央銀行の破たん危機」が、世界的に危惧され始めるとともに、「どのようなメカニズムで破たんが発生するのか?」についても、理解が深まってきたものと思われるが、実際には、「中央銀行の負債と自己資本との関係性」が、重要なポイントとも言えるようである。つまり、「中央銀行も、民間企業などと同様に、債務超過に陥った時に、破綻の危機を迎える」という事実のことだが、「民間企業」と「中央銀行」との違いとしては、「政府からの資本注入が無制限に可能である」という点が指摘できるのである。

より詳しく申し上げると、「2008年のリーマンショック」以降、「世界の政府や中央銀行は、こぞって、超低金利政策を選択するとともに、中央銀行のバランスシート増額を図ってきた」という状況だった。別の言葉では、「中央銀行の負債を増やしながら、国債などの資産を買い付けてきた」という展開のことでもあるが、この手法の問題点としては、「短期の資金を借りて、長期の資産に投資する」という状況が指摘できるのである。

つまり、「超低金利状態が継続する限りは、中央銀行の黒字が達成可能な状況」でありながら、「2022年に発生した変化」としては、「インフレの発生や資金的なひっ迫により、急速な金利上場が始まり、中央銀行の利益に問題が発生し始めた」という点が理解できるのである。より具体的には、「日銀のバランスシート」からも明らかなように、「約500兆円もの資金を借りて、ほぼ同等の投資を行ってきた」という状況に関して、「利息の支払い負担が、投資収益を上回る可能性」が危惧され始めたのである。

そして、この点については、すでに、欧米諸国で問題が発覚し始めるとともに、「今後、どのような変化が、世界の金融界に発生するのか?」が懸念されているが、実際には、「中央銀行の自己資本減少と、その後の債務超過」が、現実の危機となり始めているのである。つまり、「アメリカ」や「イギリス」などで、この議論が活発に行われ始めているが、より深刻な国家としては、やはり、「日本」が当てはまるのである。

具体的には、「7月のイエレン財務長官の来日」以降、「日銀のバランスシート残高が急減している状況」となっており、このことは、「金利上昇の実現が難しい国家」の「焦り」が現れている状況とも言えるようである。つまり、「利上げをせずに、できるだけ時間稼ぎを行いたい」という「黒田総裁の思惑」が滲み出ているようにも思われるが、この結果として発生する変化は、やはり、「急激な円安」と「インフレ率の上昇」であり、また、「国債の買い手消滅による、意図せざる金利上昇」だと考えている。