本間宗究(本間裕)のコラム
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2022.11.16
FTXの破綻
「時間や暦のサイクル理論」から想定していた「11月初旬の金融混乱」は、「FTXの破綻」という結果となったが、このことは、「2001年の9・11事件」において、「目に見える金融ツインタワーへ突入したジェット機の役割を果たした状況」のようにも感じている。つまり、現在では、「約500兆ドルのOTC金利デリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」という「目に見えない金融ツインタワー」がそびえ立っており、このことが、「世界的なインフレや金利上昇の根本的な原因」とも言えるのである。
そのために、今まで、「タイミングの問題」に腐心してきたが、今回は、「2月24日に発生したウクライナへの軍事侵攻」や「9・11事件における四機のジェット機ナンバー」、そして、「1945年8月の原爆投下事件」などから、「11月の初旬」が導きだされた状況でもあった。ただし、私自身の未熟さとしては、「FTXの破綻」を考えていなかった点が指摘できるが、「未来予測のための必要条件」としては、シュペングラーが指摘する「成ること」に妄想を抱くのではなく、「成ったこと」を受け入れ、「時空における世界の全体像」というジグソーパズルを埋めることだと考えている。
別の言葉では、「なぜ、今回、FTXの破綻が発生したのか?」に関して、原因を考えながら、今後の展開を予想することでもあるが、実際には、「1971年のニクソンショック」をキッカケとして誕生した「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」、そして、その後の「デリバティブとデジタル通貨の大膨張」が、根本的な原因とも言えるのである。また、今後の展開としては、「紙幣の増刷」、あるいは、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の発行」が議論されているが、実際には、「不安に駆られた国民が、紙幣とCBDCの、どちらを受け入れるのか?」が、大きな注目点になるものと感じている。
より詳しく申し上げると、今後、最も注目すべき点の一つは、「1998年の長銀国有化」の際に議論された「資金の貸し出しか、それとも、資本注入か?」という問題であり、実際には、「金融システムを安定させるためには、負債の増加ではなく、自己資本への資金注入が必要とされる状況」が予想されるのである。
そして、このような状況下で、国民が選択する行動は、過去のパターンのとおりに、「紙幣を引き出して、市場で実物資産へ交換を始める展開」であり、その結果として予想される事態は、「人類史上、未曽有の規模でのハイパーインフレ」でもあるが、この点に関して、現在は、まだ「序の口の段階」にすぎないものと感じている。