本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.12.5

永久国債と日銀券

10月に開催された「新しい資本主義実現会議」では、「永久債の発行」が議論されたと報道されているが、この点については、20年以上も前に、「実現の可能性が低く、また、有効性も認められない」と判断された状況だったものと記憶している。つまり、「国家の財政」については、「歳出と歳入の関係性」において、「目に見える税金」と「目に見えない税金」が存在することが、「経済学の基本」とも言えるのである。

より詳しく申し上げると、「歳出が歳入を上回る状態」に陥ると、最初は、「目に見える税金の増加」が目論まれるものの、その後、「増税が難しくなり、将来の税金である国債の発行が実施される時期」を迎えるのである。つまり、「戦後の日本」においては、このような展開が繰り広げられてきたわけだが、その後の問題点としては、「国債の発行」が難しくなったときに、「目に見えないインフレ税」が課され始める状況である。

具体的には、「リフレーション政策」と呼ばれる「国民が気付かないように、中央銀行のバランスシートを膨張させる方法」、すなわち、「中央銀行の借金を増やしながら、国債の買い付けを実施する手段」が採られた状況のことである。別の言葉では、「中央銀行が民間から借金をしながら、資産として国債を保有する方法」のことでもあるが、この時の問題点は、「中央銀行の負債を増やす方法に行き詰まりが生じる可能性」とも言えるのである。

つまり、「異次元の金融緩和」の実施が可能だった「超低金利状態が維持されながら、当座預金という方法で中央銀行の負債を増やすことが可能な時期」においては、「短期資金を借りて、長期資産に投資する方法」に問題が発生しなかったことも見て取れるのである。別の言葉では、「時代錯誤の投資手法」であろうとも、「時代錯誤の経済学」が信任されている時代においては、大きな評価を受けたものと考えられるが、現在では、すでに、「世界的なインフレ率や金利の上昇が始まった展開」となっているのである。

そのために、現時点で取れる方法としては、「目に見えないインフレ税」と言われる「中央銀行の紙幣増刷」しか残されていない状況とも思われるが、実際には、「国家の借金」である「国債」について、「誰が、国債を買えるのか?」が問題視される状況となっているのである。つまり、現在では、「永久国債を発行しても、買い手が不在な状態」となっているために、今後は、「中央銀行の借金である紙幣」を増刷することにより、「国家の借金を帳消しにする」という「古典的な手法」が選択されるものと考えているが、このキッカケとなるのは、やはり、「国債価格の暴落」とも言えるようである。