本間宗究(本間裕)のコラム
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2022.12.10
干支から見る2023年
2023年は「癸卯(みずのと う)」という暦になるが、「癸」については、「十干の最後」であり、また、「枯れた畦道」に象徴されるように、「世の中が、どのような状態になっているのか?」が、はっきり見えてくる状況を表わしている。そして、「十二支の四番目」に相当する「卯」については、「新たな門が開く状態」を表しているために、干支の二つを合わせて考えると、「多くの人々が、世界情勢を、はっきり理解する状況下で、全く新たな時代が始まる展開」が想定されるようである。
より詳しく申し上げると、「文明法則史学」が教える「800年に一度の東西文明の大転換」が明らかになる展開のことだが、実際には、今までの「唯物論」や「マネーの大膨張」などに象徴される「西洋の物質文明」が終焉し、今後は、「唯心論」や「精神的な余裕」などを主な価値観とする「東洋の精神文明」が始まるものと想定されるのである。別の言葉では、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊」と同様に、「グローバル化した世界共同体」とでも呼ぶべき状況が、「数多くの小さな共同体」へ分裂を始める状況のことである。
つまり、「人々の結び付き」を意味する「社会的な共同体」に関しては、最初、「血縁」などを基本として発生し、その後、徐々に、「共同体の統合」が発生したものと考えられるが、現在は、「デジタル通貨で結び付けられた、世界的な金融共同体」とでも呼ぶべき状況となっているのである。具体的には、「目に見えない金融ツインタワー」である「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」がそびえたっていながらも、実際には、「9・11事件」のような展開が始まった状況のことである。
より具体的に申し上げると、「ゼロ金利やマイナス金利などにより、実体経済から隔離され、大膨張したマネー経済」が存在しながらも、「2022年にはっきりとした事実」としては、「デジタル通貨が紙幣に形を変えて、マネー経済から実体経済へと浸みだし始めた状況」とも言えるのである。つまり、「お金は、利益を求めて彷徨う」という言葉のとおりに、「金融商品よりも実物商品の方が、より大きな値上がりを示す展開」となったために、多くの人々が、実物資産への資金移動を始めたことが見て取れるのである。
別の言葉では、「何でもバブル」の状態を引き起こした「金融界のメルトダウン」が、現在では、「金融資産」から「実物資産」へ移行し始めているために、今後は、「1600年前の西ローマ帝国」を超えて、「人類史上、未曽有の規模で、世界的な大インフレが発生する展開」が想定されるものと感じている。