本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2022.12.17

二機目のジェット

12月16日に発表された「監査法人のマザーが、仮想通貨関連の全顧客向けに作業を停止した」というニュースは、「11月9日前後に明らかとなったFTXの破たん」に続く「目に見えない金融ツインタワーに突入した二機目のジェット」だったようにも感じている。つまり、「2001年の9・11事件」の時には、「目に見える金融ツインタワー」がテロ事件によって破壊されたが、「約20年後の状況」としては、「世界全体に、約600兆ドルものOTCデリバティブと約330兆ドルもの世界債務がそびえ立っている状態」となっているのである。

より詳しく申し上げると、「1971年のニクソンショック」以降、「金(ゴールド)」の制約から解放された「世界の通貨」は、「糸の切れた凧の状態」となり、「レバレッジ(テコの効果)」を利用しながら、爆発的な増加を見せたのである。別の言葉では、「お金の魔力」に酔い痴れた人類が、「お金が全てである」と錯覚し、「デジタル革命」にまい進した結果として、「0と1との間に存在する大切なもの」、すなわち、「人間の感情や心」などを忘れ去ってしまったものと想定されるのである。

つまり、「お金(デジタル通貨)」という「単なる数字」が「現代の神様」となり、「お金儲けのためなら、どのような犠牲でも払うべきだ」と錯覚する人々が増えた結果として、前述の「目に見えない金融ツインタワー」が形成されたのである。別の言葉では、「貨幣の歴史」において、「1600年前の西ローマ帝国崩壊以来、徐々に膨らんできたマネーの残高が、過去50年間で、一挙に爆発的な大膨張を見せた状況」のことである。

そのために、今後は、「史上最大のバブル」とも言える「デジタル通貨のバブルが崩壊する展開」が想定されるが、実際には、「金融界の白血病」とも言える「紙幣がコンピューターネットワークの中を流れることができない状態」の発生である。つまり、「世界的な金融システムの崩壊を防ぐために、間もなく、世界の中央銀行が、一斉に、紙幣の増刷を始める状況」が想定されるが、この結果として発生する現象としては、「紙幣では、金融商品の決済が、きわめて困難になる状況」が指摘できるのである。

その結果として、「世界中の人々が、何が安全資産なのかを考え始めるとともに、実物資産への資金移動が始まる展開」も予想されるが、実際には、「劇場の火事」のように、「ボトルネック的な状態」となり、「本来のお金(マネー) である貴金属などに大量の資金が殺到する状態」が発生するものと考えている。