本間宗究(本間裕)のコラム
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2022.12.24
2023年度予算案の落とし穴
12月23日に発表された「日本の2023年度予算案」については、明らかな「落とし穴」が待ち構えているものと思われるが、具体的には、「金利の上昇」が、ほとんど考慮されていない状況のことである。別の言葉では、「イギリスのトラス前首相」と同様に、「インフレ率や金利の上昇を軽視した結果として、予算案の実施が難しくなる可能性」であり、実際には、「国債費の急増と新規国債の発行が難しくなる可能性」である。
より詳しく申し上げると、今回の予算では、「歳出に約25.2兆円の国債費」と「歳入に約35.6兆円の新規国債」が計上されているが、この点については、「過去20年余りの期間に継続した超低金利状態が、今後も継続する」という前提が含まれているものと思われるのである。つまり、「今まで続いてきたから、今後も継続するはずだ」というような「一種の思考停止状態」が働いている状況のことでもあるが、実際には、「日本の金利やインフレ率も、世界的な影響を逃れられない状況」とも言えるのである。
具体的には、「過去20年以上も継続した日本の金融緩和と呼ばれる状況」、すなわち、「国民の預金などを借りながら、国債の買い付けを実施して、日銀のバランスシートを膨張させる方法」については、「ゼロ金利やマイナス金利の存在」が必要不可欠の状況だったものと考えられるのである。つまり、「国民の預金に金利を支払わず、民間金融機関や日銀、そして、国家財政を援助してきた手法」については、現在、きわめて危機的な状態に陥ったものと想定されるのである。
そして、結果としては、「国債の買い手が急減する可能性」や「国債費が急増する可能性」に見舞われるものと考えられるが、この点については、「1991年のソ連」、あるいは、「1945年の日本」などが、典型的な前例とも言えるようである。つまり、「国家財政の破たん」に見舞われる状況であり、このような状況下で、政府や日銀が取れる方法は、古典的な手法である「紙幣の増刷」とも想定されるのである。
そのために、これから必要とされることは、「1971年のニクソンショック」をキッカケとして始まった「現在の信用本位制と呼ぶべき通貨制度」において、「どれだけのマネーが創られたのか?」を、具体的な数字で把握することであり、また、「世界的な債務やデリバティブの残高が消滅しない限り、世界的なインフレが終息しない可能性」を理解することでもあるが、この時に必要とされることは、やはり、「通貨と商品との関係性を正しく認識すること」とも言えるようである。