本間宗究(本間裕)のコラム
* 直近のコラムは、こちら。
2022.12.25
何でもバブルのメカニズム
「2008年のリーマンショック」以降、世界全体で、「何でもバブル」と呼ぶべき状態が発生したが、このメカニズムとしては、「金融のメルトダウン」が指摘できるものと考えている。つまり、「金融の逆ピラミッド」において、頂点に位置する「デリバティブ」の残高がピークを付けるとともに、徐々に、下方に位置する「国債」や「預金」などへと、資金が流れ出した状況のことである。
より詳しく申し上げると、「デリバティブのバブル崩壊」を防ごうとする目的で「QE(量的緩和)」が実施されたものの、結果としては、「ほとんどすべての商品に、バブルの発生と崩壊をもたらした状況」だったものと考えられるのである。別の言葉では、ほとんどすべての商品に対して、「資金の流入と引き上げ」が発生した結果、現在では、「大量のマネー」が存在しながらも、一方で、「流入すべき商品」が限られてきた状況となっているのである。
つまり、「実体経済を代表する商品」については、「フローの性質」、すなわち、「注文や取引が永続する保証がない状態」であるものの、一方の、「通貨やマネー」に関しては、「ストックの性質」、すなわち、「残高が増え続ける性格」を有しているものと理解できるのである。そして、現在では、大量に存在する「デジタル通貨」が、「紙幣に形を変えて、実物資産へ流入を始めた状況」となっており、この動きを止めるためには、「お金の値段」とも言える「金利」を上昇させる方法が必要不可欠の状態となっているのである。
より具体的には、「預金などの魅力」を高めることにより、「預金からの資金移動」を防ぐ効果が存在するものの、一方で、「商品」である「デリバティブ」や「国債」、あるいは、「預金」などについては、急速に信頼感を失いつつある状況とも言えるのである。つまり、世界の各国が「国家財政の破たん危機」に見舞われ始めており、このことを察知した人々が、慌てて、「何が安全な商品なのか?」を考え始めた可能性のことである。
そして、結論としては、過去のパターンのとおりに、「裏側に借金をしている人がいない商品」、すなわち、「貴金属」や「実物資産を保有し、かつ、自己資本比率が高い株式」などを選好し始めたものと想定されるのである。しかも、「マネーの残高」に関しては、今後、「国家の財政危機」により、「最後の手段」とも言える「紙幣の増刷」が行われ、その結果として、「天文学的な急上昇を見せる可能性」が危惧されるために、現在では、すでに、「政府の政策に影響を受けにくい資産への逃避」が始まっているものと考えられるが、この点については、今後、加速度的に理解が深まる状況も想定されるようである。