本間宗究(本間裕)のコラム
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2023.1.6
マイナス金利バブルの崩壊
2016年から始まった「国債のマイナス金利」は、2023年に完全消滅した展開となっているが、この点については、未来永劫語り継がれる異常事態であり、そのために、今後、詳しい分析が行われるものと考えている。つまり、「お金を借りた人が金利を払うのではなく、反対に金利を受け取れる状況」というのは、「人類史上、初めての状況であり、また、二度と繰り返されることがない出来事」とも想定されるのである。
より詳しく申し上げると、「1980年代初頭から始まった世界的な金利低下」、そして、「過去20年余りの超低金利状態」の最終段階として、「国家が国債を発行すると、償還時に金利を受け取ることが可能である」という前代未聞の事態が発生し、しかも、6年以上も継続した状況だったのである。そして、この理由としては、「デリバティブのバブル崩壊を隠蔽するために、世界各国の中央銀行が、大量に国債を買い付けた状況 」が指摘できるが、現在では、ようやく、金利正常化の一歩が始まったものと考えられるのである。
別の言葉では、「世界にそびえ立っている目に見えない金融ツインタワー」、すなわち、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」に関して、本格的な崩壊が始まる兆候のようにも感じられるのである。つまり、「2021年11月9日前後のFTX破たん」と「それから約一か月後に発生した監査法人マザーの監査拒否事件」が、「2001年9・11事件の際の二機のジェットの役割を果たした状況」だったようにも思われるのである。
そのために、タイミングとしては、「二機目のジェットから約1か月後の1月末」に注目しているが、今回の「マイナス金利バブルの崩壊」は、この点に関して、前兆的な役割を果たしている状況のようにも感じている。つまり、「デリバティブと世界債務の問題に関して、間もなく、はっきりとした形で大事件が発生する可能性」が高まっているものと思われるが、実際のところ、今回の「一年以上の期限をもつ国債の全てが、マイナス金利から脱却した事実」については、今後の「金利負担の上昇」、および、「保有国債の含み損の急増」を示唆しているものと考えられるのである。
つまり、今後、最も注意すべき点は、「山高ければ谷深し」という「相場の格言」のとおりに、「空前絶後の規模で積み上げられたデリバティブと世界債務が、どれほどの規模とスピードで崩壊を始めるのか?」ということであり、しかも、現在では、時間的な余裕が消滅した状況のようにも感じている。