本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.1.5

グローバル共同体の崩壊

現在の世界情勢に関して、海外では、「グローバル化の巻き戻し」であり、「1970年代のインフレを参考にすべきである」という意見が主流になりつつあるようだが、私自身としては、「グローバル共同体の崩壊」という表現の方が適切であり、また、「1991年のソ連崩壊を参考にすべきではないか」とも考えている。つまり、「世界的なグローバル共同体の形成」については、「デリバティブの残高がピークを付けた2008年前後」がピークの状況であり、その後は、「量的緩和(QE)」の名のもとに、「金融メルトダウン」が進展し、その結果として、「何でもバブルの状態」が作り出されたものと考えられるのである。

別の言葉では、「デリバティブ」と「世界債務」という「金融ツインタワー」の成長速度に関して、「時間的なずれ」が存在したわけだが、この点については、実際のところ、「2008年前後のGFC(金融大混乱)」が「金融の大地震」であり、その後の「量的緩和」については、「金融界のブラックホール」を進行した「金融のメルトダウン」、あるいは、「インフレの大津波」だったものと想定されるのである。つまり、「デリバティブの崩壊」を隠蔽するために、「先進各国の中央銀行が、国民の資金を借りて、大量の国債買い付けを実施し、超低金利状態を作り出した状況」のために、「デリバティブの残高が、若干の減少を見せたものの、一方で、世界の債務残高が急増を見せた展開」となったのである。

より詳しく申し上げると、「デリバティブおよびマネーの残高がピークを付けるまでに、どれだけの期間を要したのか?」を考えると、「貨幣の歴史」からは、実際のところ、「西暦400年前後の西ローマ帝国崩壊」にまで時代を遡る必要性があるものと想定されるのである。つまり、「数多くの小さな共同体に分裂した状態」が、その後、「約1600年という長い時間をかけて、今回のグローバル共同体にまで辿り着いた状況」のことだが、この点については、「約800年間の東洋的な信仰の力」と「約800年間の西洋的な富の力」が根本的な役割を果たしたものと理解できるのである。

そのために、今後の展開としては、やはり、「1991年のソ連崩壊」と同様に、「国債の買い手消滅」が引き起こす「国債価格の暴落」、すなわち、「政府の財政破たんによる、紙幣の大増刷とハイパーインフレ」が、世界的に発生する可能性が高まっているものと考えられるのである。つまり、「目に見えない金融ツインタワーが、近い将来に、ほぼ瞬間的に崩れ去る状況」のことだが、現在では、すでに、「二機目のジェットに相当する事件」が発生しているために、後は、「どの国から、実際に、国債価格の暴落が始まるのか?」を待つだけの状況のようにも感じている。