本間宗究(本間裕)のコラム
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2023.3.1
「人新生」と「マネー」
「三次元の議論」、すなわち、「現在の出来事だけを取り上げて、さまざまな可能性を述べる議論」では、「無数の結論」が導かれるとともに、「先の見えない不安感や恐怖心」が醸成されるものと考えている。しかし、一方で、「四次元の議論」、すなわち、「過去の推移を考慮しながら、これからどのような展開が予想されるのかを述べる議論」では、「一つの結論や真理」が導かれることにより、多くの人が悩み苦しむ「仏教の四苦八苦」が軽減されるものと感じている。
つまり、現在の「貨幣の破壊」や「大都市における少子化現象」、そして、「大衆の道徳的退廃」などについては、100年ほど前の著書である「シュペングラーの西洋の没落」や「オルテガの大衆の反逆」などで予見されていた出来事とも言えるのである。別の言葉では、「カール・ポランニーの大転換」という著書で述べられているように、「マネーの大膨張」が「悪魔のひき臼」の役割を果たした結果として、「お金が神様となった状況」が、世界的に形成されたものと考えられるのである。
そのために、これから必要とされることは、「138億年の歴史を持つ宇宙」や「46億年の歴史を持つ地球」、そして、「数万年と言われる人類文明の歴史」などの発展に関して、「どのようなメカニズムが働いたのか?」を考えることとも想定されるのである。つまり、「オルテガ」が主張するとおりに、「現在の問題である『大衆の反逆』に対抗できる唯一の手段が、『真の哲学』を構築すること」とも考えられるのである。
別の言葉では、「人新生」や「マネー」などに関して、「無益有害な言葉遊び」を廃して、「真剣に真理を追究する態度」が求められている状況のことでもあるが、実際には、「シュペングラー」が予見していた「大都市の大衆が、なぜ、野蛮化、かつ、原始化していくのか?」などを考えることである。あるいは、「19世紀から始まった大衆の時代」に関して、「共同体の規模が、どのようなメカニズムで、グローバル共同体にまで発展したのか?」などに関して、真剣な思索を繰り返すこととも言えるのである。
より具体的には、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊」を参考にしながら、すでに始まった「世界的な貨幣の崩壊」、あるいは、「民族大移動の後半部分」などを、真剣に議論することが求められている状況とも思われるが、実際のところ、現在の「世界的な金融混乱」に関しては、「人類史上、未曽有の状況」であり、また、「時間的な余裕」が消滅した状況のようにも感じられるのである。