本間宗究(本間裕)のコラム
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2023.3.28
金本位制と中央銀行
「2023年3月」から始まった「目に見えない金融ツィンタワーの崩壊」、すなわち、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」の「バブル崩壊」については、あまりにも規模が巨大すぎるために、「なぜ、このような異常なバブルが形成されたのか?」に関して、根本に遡って解明する必要性があるものと感じている。具体的には、「金本位制」と「中央銀行」の歴史を辿ることにより、「いつ、どのようなメカニズムで、マネーが大膨張したのか?」を理解することである。
そして、この点に関して、重要な役割を果たしたのが。「1816年にイギリスから始まった金本位制」であり、また、「19世紀の後半から始まった世界的な中央銀行の創設」とも考えている。つまり、「現物の金(ゴールド)を基にして、マネー(貨幣)の残高を増やす方法」としては、最初に、「兌換紙幣」という「金と交換可能な紙幣」の発行があったことが見て取れるのである。
また、その後の展開としては、「1933年のアメリカ」における「金貨本位制から金地金本位制への移行」が挙げられるが、このことは、「政府が金を没収することにより、より多くの兌換紙幣が発行可能になった状況」を表しているのである。つまり、「実体経済の成長に伴い、より巨額の資金が必要とされた状況」でもあったが、このような「商品と通貨の関係性」において、きわめて大きな意味を持ったのは、「1944年のブレトンウッズ体制」よりも、「1971年のニクソンショック」だったものと考えている。
具体的には、「通貨と実物資産との関連性」が断たれたことにより、「1971年以降、人類史上、未曽有の規模とスピードでマネーの大膨張が発生した展開」のことでもあるが、この時の注目点は、「商品と貨幣との関係性」とも言えるようである。つまり、「通貨の堕落」に関しては、「投資すべき商品」の喪失により、「民間銀行の成長」が止まり、「中央銀行のバランスシート膨張」が、根本的な原因のようにも感じられるからである。
より詳しく申し上げると、「2010年前後に成長が止まったデリバティブという金融商品」に関して、それまでは、「民間金融機関の簿外(オフバランス)取引」により、「民間部門におけるバランスシートの膨張」が可能だったのである。そして、結果としては、「中央銀行の紙幣増刷」を防ぐことができた状況だったが、今回の「世界的な金融混乱」については、「今までの努力が水泡に帰すような結果」をもたらすとともに、今後は、「ハイパーインフレ」が引き起こす「マネーの消滅」を考える段階に入ったものと感じている。