本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.3.29

神から紙への変化

「2023年の3月」は、「年と月と日の全てが卯の暦」という「時間のサイクル」が教えるとおりに、「まったく新たな扉が開いた状況」であり、実際には、「現代のマネー(お金)」に関して、「神から紙への変化」が始まった状況のようにも感じている。つまり、「紙幣は時代遅れであり、今後は、デジタル通貨が主流になる」というような理解が実は大きな誤りであり、今後は、「1600年前の西ローマ帝国の末期」と同様に、「パンとサーカス」や「大都市の座業」などに慣れ親しんだ人々が、「お金に対して、全体的な信頼感を置いた状態」が完全崩壊する可能性のことである。

別の言葉では、今回の「複数の米国銀行の破たん」や「クレディスイスの救済買収」がもたらしたものは、「1946年1月1日」に発せられた「天皇陛下の人間宣言」と似たような変化のようにも感じられるのである。つまり。「明治維新」以来、「神様の地位」に祭り上げられていた「天皇陛下」が、終戦の直後に、「普通の人間」に戻った状況のことだが、今回の「民間銀行の連続破綻」については、「お金そのものの権威が、大きく失墜し始めた状況」を表しているものと思われるのである。

より具体的には、「中央銀行のバランスシート」に関して、「当座預金残高の増加」という従来の膨張方法が限界点に達したために、今後は、「紙幣の増刷」、あるいは、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の発行」などが模索されているものと思われるのである。つまり、「量的縮小(QT)の実施により、バランスシートの残高を縮小する目論み」は、結果として、「銀行の連鎖破たんによる世界的な大恐慌」を発生させる可能性が危惧されたために、現在では、再度、「量的緩和(QE)」が模索され始めた状況とも言えるのである。

そのために、今後の展開としては、「CBDCの発行が、本当に実現可能なのか?」を、くわしく検討するとともに、「紙幣の増刷が、どのような問題を引き起こすのか?」を、再度、検証する必要性があるものと思われるのである。具体的には、以前から指摘している「金融界の白血病」、すなわち、「紙幣がコンピューターネットワークの中を流れることができずに、実物経済のみならず、金融取引の決済などに大問題が生じる可能性」のことである。

別の言葉では、「神様のような状態に祭り上げられたデジタル通貨が、反対に、さまざまな混乱を引き起こす状況」のことでもあるが、この点については、「1600年前の西ローマ帝国崩壊時」と同様に、「お金の根本」である「信用」が失われたことにより、「人々の間で、争いが発生した状況」が根本的な原因として指摘できるものと感じている。