本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.4.18

ハイパーインフレによる貨幣の破壊

今から100年以上も前に著わされた「西洋の没落」において、シュペングラーは、「西暦2000年前後からの特徴」として、「大都市における少子化や大規模な建築物、そして、民主化と貨幣」などを挙げている。そして、これらの点については、驚くほどの正確さで実現している状況とも思われるが、より注目すべき事実は、今後の展開として、「貨幣の破壊、あるいは、敗北」が指摘されている点である。

より具体的には、「完成した皇帝主義」による「貨幣の破壊」のことだが、実際には、「軍事力や資金力、あるいは、政治力に裏打ちされた権力者が、金融システムを崩壊させる展開」のようにも感じている。別の言葉では、「お金の根本」とも言える「信用」に関して、「共同体の規模」が大きな意味を持っており、実際には、「共同体の規模拡大により、マネーの残高が増える状況」を表している状況のことである。

つまり、「西暦2000年」というのは、「文明法則史学」が指摘するとおりに、「西洋文明の絶頂期」であり、実際のところ、「米国を中心にしたマネーの大膨張」に関しては、人類史上、未曽有の規模となったことも見て取れるのである。別の言葉では、「1991年のソ連崩壊」をキッカケにして、それまでの共産主義諸国が、資本主義諸国の金融市場に参入した結果として、「デリバティブのバブル」が発生した状況のことである。

そして、「3月から始まった米国の金融危機」に関しては、これほどまでの背景が存在するものと思われるために、決して、短期間で終了するとは考えず、反対に、「ハイパーインフレによる貨幣の破壊」までをも憂慮する必要性があるものと感じている。つまり、「1971年から始まった、信用本位制と呼ぶべき、人類史上未曽有の通貨制度」に関しては、シュペングラーが示唆するとおりに、今後、「デジタル通貨の完全破壊」も想定すべき状況とも思われるのである。

ただし、この時の救いとしては、やはり、「11次元にまで進化した自然科学」が挙げられるが、実際には、「量子力学」や「分子生物学」、あるいは、「人工知能」などを活用して、「3次元に留まっている社会科学の次元上昇を図ること」である。別の言葉では、すでに始まった「知能と貨幣との政治の終末」を理解しながら、「これから、どのような時代が訪れるのか?」を考えることであり、この時に、大きな助けとなるのが、「時間のサイクル」を表す「文明法則史学」あり、また、「時間と空間との関係性」を表す「東洋の易経や四柱推命」だと考えている。