本間宗究(本間裕)のコラム
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2023.6.12
産業革命と中央銀行
現在の世界情勢としては、「ハイパーインフレ」の発生により、「東西文明の交代」が始まる局面に差し掛かっているものと思われるが、この点に関する興味深い事実としては、「時間的なサイクルが半減する法則」が挙げられるものと感じている。具体的には、「400年ほど前の西暦1600年前後に『時は金なり』という認識が誕生し、それから約200年後に産業革命が発生し、実体経済の成長が始まった展開」のことである。
そして、「100年ほど前から、世界各国で中央銀行が誕生し、マネーの大膨張が始まった状況」であり、また、「その半分の期間である約50年前から、信用本位制と呼ぶべき通貨制度が誕生した状況」だったことも見て取れるのである。しかも、この点については、「戦後の26年サイクル」のとおりに、更なる「サイクルの半減期」が存在している状況のようにも感じているが、実際には、「2010年前後にデリバティブの大膨張が終焉し、その後、中央銀行のバランスシート大膨張、及び、リフレーション政策である量的緩和(QE)が始まった展開」のことである。
つまり、「マネー残高のスパイラル的な膨張」が産み出したものは、「社会情勢の加速度的な変化」だったものと思われるが、実際には、「大都市化の加速」であり、また、「知性と貨幣への、人々の過剰な信頼感」のことである。別の言葉では、私が作成した「心の座標軸」において、「人々の興味と関心、そして、行動が、『目に見えるもの』と『自分』に向かった状況」のことであり、このような「志(心指し)」が産み出す社会は、前述のとおりに、「1600年に一度の大都市」とも理解できるのである。
より具体的には、「パンとサーカス」であり、また、「スポーツ選手の高額給料」などのことでもあるが、この理由としては、やはり、「1980年代の初頭から始まった、デリバティブの大膨張、そして、世界的な金利低下」などが指摘できるようである。ただし、現在では、「西洋文明の絶頂期が、すでに終了した可能性」も想定されるために、今後は、「金融システムや中央銀行の破綻」、そして、「世界各国の財政破綻」を象徴する「世界的なハイパーインフレ」に備える必要性があるものと感じている。
別の言葉では、「世界的な信用消滅」がもたらす「デジタル通貨の無力化」、すなわち、「デジタル通貨が神的な存在から、単なる紙切れに変化する展開」のことでもあるが、現在では、「この事実に気付いた人々が、慌てて、貴金属などの実物資産を購入し始めた状況」のようにも感じている。