本間宗究(本間裕)のコラム
* 直近のコラムは、こちら。
2023.7.21
貨幣の歴史
今から36年前の「1987年の10月」、「ブラックマンデー」に大きな衝撃を受けた私は、「1929年の大恐慌」や「1923年のドイツのハイパーインフレ」などについて、詳しく調べ始めたが、この時に驚かされたのが、「ハイパーインフレの凄まじさ」であり、その時から、「次のハイパーインフレを、どのようにして乗り切るのか?」を考え続けてきたという状況でもあった。
より具体的には、「約2000年に及ぶ貨幣の歴史」を調べながら、「貨幣の量と質の変化」を研究してきたが、この点で特筆すべきは、やはり、「1971年のニクソンショック以降、きわめて大きな変化が世界の金融市場で発生した事実」だと感じている。つまり、それまでの「金本位制」が廃止されるとともに、「デジタル通貨の全盛期」を迎える展開となったことが理解できるのである。
しかも、現在では、かつて日本が経験した「約2500兆円の土地バブル」、すなわち、「日本を売れば、日本以外の全世界の土地が買える」と言われたバブルを、はるかに凌駕する「約8京円ものデリバティブバブル」までもが発生しているのである。つまり、「人類が『貨幣』を発明してから、約五千年から六千年の歴史がある」と言われているが、今回の「デジタル通貨のバブル」に関しては、「1600年ほど前の西ローマ帝国にまで遡らなければ、比較できるようなマネーの大膨張が存在しない状況」とも言えるのである。
別の言葉では、「西暦400年から西暦1900年前後までの約1500年間」は、ほとんどが「金貨が通貨として使用されていた」という状況であり、「マネーの残高」は、「金や銀の産出量」によって制限されていたことも見て取れるのである。より具体的には、「今から90年ほど前、1933年までのアメリカでは、金貨や銀貨が通常の通貨として使われていた」という状況だったのである。
しかし、現在では、ご存じのとおりに、「紙幣」だけではなく、「デジタル通貨」が主流となるような時代が訪れたわけだが、今後の問題点としては、やはり、「お金(マネー)の根本である信用」に関して、「通貨に対する信用が、一瞬にして崩壊する可能性」とも想定されるのである。つまり、「デジタル通貨が、現代版の『裸の王様』である事実に、世界中の人々が気付かされる可能性」が想定されるわけであり、このキッカケとなるのが、現在、世界的に注目を浴び始めている「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の発行」のようにも感じている次第である。