本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.7.31

最後の藁一本

現在の「世界的な金融大混乱」に関して、大きな注目を浴び始めているのが、「何が、ラクダの背骨を折る最後の藁一本になるのか?」ということであり、実際には、「どのようなきっかけで、約600兆ドルのOTCデリバティブと約330兆ドルの世界債務という、目に見えない金融ツインタワーの崩壊が始まるのか?」ということである。つまり、「2022年11月9日」に発生した「FTXの破綻」は、私の想定どおりに、「金融ツインタワーに突撃した最初のジェット機」だったものの、「2機目のジェット機」に関しては、私の想定とは違い、「2023年3月10日」から発生した「シリコンバレー銀行などの破綻」だったようにも感じられるのである。

別の言葉では、「現在が、依然として、『目に見えない金融ツインタワーの炎上中』の状態ではないか?」ということでもあるが、この点に関する最近の報道としては、「利上げにより、欧米諸国の金利負担が急増する可能性」のみならず、「世界的なドル離れ」や「米国に対する信用失墜」までもが指摘され始めているのである。つまり、「BRICS諸国による新たな通貨制度の設立」などのことでもあるが、この点については、「過去のハイパーインフレ」が参考になるものと感じている。

具体的には、「マネーの大膨張」の後に「金融大混乱」が発生するものの、その後は、「リフレーション政策」を経た後に「大インフレ」が発生し、その結果として、「デノミ」や「新たな通貨制度の成立」へとつながる展開のことである。つまり、「膨大に膨れ上がった債務残高が、ハイパーインフレで減少しない限り、新たな時代が始まらない可能性」のことでもあるが、現在は、ようやく、「ハイパーインフレが発生しかかっている段階」とも言えるのである。

そして、この点に関して気になる出来事は、「リスクマネーの最後の供給減」と言われている「日銀」が、「7月の金融政策決定会合で、きわめて曖昧な態度を取った事実」のようにも感じている。つまり、「世界中の投資家が疑心暗鬼になるような状況」を引き起こした結果として、「デリバティブの本格的な崩壊」や「世界の債券市場が、急激な下落に見舞われる展開」などが想定される状況のことである。

別の言葉では、「戦後の26年サイクル」のとおりに、「2023年8月15日前後に、本格的な金融大混乱が始まる可能性」のことでもあるが、この点に関して忘れてはいけない事実は、「時間の経過とともに、世界の債務残高が膨張している状況」だと考えている。