本間宗究(本間裕)のコラム
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2023.8.16
中国版リーマン・ショック
「2023年8月15日」については、「戦後の26年サイクル」の観点から、大きな注意を払ってきたが、実際に発生した出来事としては、「中国版リーマン・ショック」と言われる「中国最大級の投資ファンドである中植企業集団の流動性危機」などだった。また、同時に報道されたことは、「米国の銀行格下げの危機」であり、具体的には、「フィッチのアナリストによる米国銀行格下げの警告」でもあった。
「戦後の26年サイクル」に関しては、以前から申し上げているように、「1945年の8月15日の第二次世界大戦の終戦」と「1971年8月15日のニクソンショック」、そして、「1997年8月13日の世界的な信用収縮の始まり」と「現在」のことである。つまり、最初の26年間は、「世界的な実体経済の成長期」であり、その次の26年間が、「経済の金融化の時期」を意味するとともに、最後の26年間が、「デリバティブによるマネーの大膨張とその後始末の時期」だったことも見て取れるのである。
より詳しく申し上げると、「1997年から2010年の約13年間」が「デリバティブの膨張期」であり、その後の「2023年8月15日までの約13年間」が、「世界的な量的緩和(QE)により、デリバティブの後始末が目論まれた時期」だったものと理解できるのである。しかし、実際には、「デリバティブの処理が成功せず、反対に、国債を始めとした何でもバブルの発生に繋がった」という展開だったのである。
その結果として、現在では、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」の「目に見えない金融ツインタワー」が形成されたわけだが、この点に関する注目点は、「2022年11月9日」に発生した「FTXの破綻」が「金融ツインタワーに突入した一機目のジェット機」の役割を果たし、また、「3月10日に発生したシリコンバレー銀行の破綻」が「二機目のジェット機」の役割を果たした可能性である。
つまり、現在は、「炎上中の金融ツインタワーが崩壊を始めようとする段階」であり、このキッカケとなるのが、今回の「中国版リーマン・ショック」や「米国の銀行格下げの警告」とも想定されるのである。そのために、「今後の数週間、あるいは、数か月」は、最も危機的な時期ではないか、と考えているが、一方で、数年前から始まっている「世界各国の政府や中央銀行による金(ゴールド)の購入」については、「事前に情報を知った人々が、先回りして商品を購入する」という「フロントランニング」のような行為とも思われるとともに、この点についても、間もなく、結果が判明するものと考えている次第である。