本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.8.17

日銀トレードの存続可能性

今後、最も注目すべき点は、「OTCデリバティブの約8割を占める金利デリバティブ」や「世界各国の国債」におけるバブル崩壊であり、実際には、「国債の買い手」が消滅することにより、「金利に関連する商品が全面的な崩壊期を迎える可能性」である。つまり、今までは、「ロシアや中国の資本主義化」により、「未曽有の規模でのデリバティブとマネーの大膨張」が実現可能な状況だったが、現在では、反対に、「東西冷戦状態の復活」により、「マネーの消滅」が世界的に始まっているものと考えられるのである。

そして、この時に、実務面で大きな意味を持つのが、「日銀トレード」だと思われるが、具体的には、今まで、多くの金融機関が、「日銀が買ってくれるから、高めの価格で入札しても大丈夫だ」と考え続けてきた状況のことである。しかし、今後は、「日銀の金融政策変更」により、「どの価格で応札すれば、損失が発生しないのか?」というような疑心暗鬼の状態に陥る可能性だけではなく、「保有している資産価格の下落により、民間金融機関に大量の不良資産が発生している可能性」までもが想定される状況となっているのである。

そのために、今後の展開としては、「民間金融機関と日銀とに、資金的な余裕が無くなる状況」が想定されるとともに、「最後の貸し手」と言われる「日銀」が、「債務の貨幣化」である「財政ファイナンス」を実施する可能性も考えられるのである。つまり、「1991年のソ連」や「1945年の日本」、あるいは、「1923年のドイツ」のように、「大量の紙幣」か、あるいは、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」を発行する可能性が想定される状況のことである。

しかも、今後の問題点としては、「債券と株式の違い」も指摘できるようだが、具体的には、「債券価格の下落が、株式よりも、急激であり、かつ、時間的に短くなる可能性」のことである。つまり、「債券」の場合には、「金利」だけが問題となるために、数多くの業種が存在する「株式」とは違い、きわめて短期間のうちに、価格の暴落(金利は急騰)が発生する展開も想定されるのである。

そして、このことが、私の想定する「目に見えない金融ツインタワーの崩壊」のことであり、また、「ハイパーインフレが発生する主因」でもあるが、現在では、時間的な余裕が無くなった状況とも考えられるのである。つまり、間もなく、「劇場の火事」のような「ボトルネックインフレ」が発生する可能性のことだが、実際には、「早い者勝ちで、実物資産を買い始める可能性」のことである。