本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.10.17

金融メルトダウンと何でもバブル

「2008年のリーマンショック」から「2023年の中国版リーマンショック」までの展開については、基本的に、「金融メルトダウンによる何でもバブルの発生と崩壊」という状況だったものと考えている。つまり、「2009年から始まったQE(量的緩和)」が意味することは、「デリバティブの崩壊を防ぐための世界的な超低金利状態」であり、この結果として発生したのが、「世界的な何でもバブル」だったものと思われるのである。

より詳しく申し上げると、ピーク時に「約800兆ドル」にまで達した「デリバティブの残高」に関しては、実際のところ、「資産項目の金融商品」と「負債項目のデジタル通貨」というように、「商品と通貨の両立てで残高が増えた状況」ともいえるのである。そして、その後の展開としては、最初に、「世界的な債券価格の上昇(金利は低下)」が発生したものの、結果としては、「米国の30年国債」からも明らかなように、「2020年3月に大天井を付け、値下がりを始めた状況」だったことも理解できるのである。

また、「米国株」についても、「2021年11月」に大天井を付け、現在は、「2023年7月」に、典型的な「毛抜き天井」を形成し終えた段階とも想定されるために、現時点で必要なことは、「金融の逆ピラミッドにおいて、デジタル通貨が、今後、どのような影響を及ぼすのか?」を理解することともいえるのである。つまり、「金融の大地震」である「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」が、その後、「仮想現実の世界で、さまざまなバブルを引き起こしてきた状況」だったが、現在では、「デジタル通貨そのものが、仮想現実から現実世界へ流れ始めた段階」とも考えられるのである。

別の言葉では、「バブル崩壊で行き場を失った資金が、新たな投資先を求め始めている状況」でもあるが、実際には、「世界の債券市場、不動産市場、そして、株式市場のすべてから、大量のデジタル通貨が、小さなコモディティー(商品)市場へ流れ始めた状況」ともいえるのである。つまり、「お金(マネー)」には「ストックの性質」、すなわち、「残高が増え続け、最後の段階で、ハイパーインフレが発生する事実」が存在するが、現在の状況は、まさに、「ハイパーインフレ発生の初期段階」とも想定されるのである。

そのために、現時点で必要なことは、すでに始まったものと思われる「人類史上、最大規模の世界的なハイパーインフレ」を生き延びることに力を注ぐことであり、実際には、「実物資産の保有」、すなわち、「貴金属」や「資源株」、あるいは、割安に放置されている「バリュー株」や「6ヶ月分の食料」などを保有することだと考えている。