本間宗究(本間裕)のコラム
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2023.11.11
世界的な利払い懸念
現在、「世界的な利払い問題」が表面化し始めており、この理由としては、「大膨張した世界のマネー」と「世界的な金利上昇」が挙げられるものと思われるが、この問題に関する注意点としては、「金利」が「マネー(お金)」や「クレジット(信用)」の「値段」を表している状況だと考えている。つまり、「値段」が意味することは、「需要」と「供給」が存在する状況であるとともに、現時点で必要とされていることは、「現在の膨大なマネーが、どのような歴史を経て創造されたのか?」の正確な理解とも思われるのである。
別の言葉では、「ローマは一日にしてならず」という言葉の通りに、かつての「西ローマ帝国」が形成されるまでには、現在の「世界的なグローバル経済」と同様に、長い時間が必要だったものと考えられるのである。そして、この過程で発生した現象は、「西洋の唯物的文明に特有のマネー大膨張」であり、しかも、今回は、極めて複雑な「金融システム」が形成されたことも見て取れるのである。
具体的には、「民間金融機関」のみならず、「中央銀行」が、世界的に設立されるとともに、「国家の債務残高」が未曽有の大膨張を見せた状況のことでもあるが、この結果として発生したのが、今回の「世界的な利払い問題」とも言えるのである。つまり、「マネー」や「クレジット」が大膨張している過程では、「民間の企業や銀行」のみならず、「中央銀行」、そして、「国家」のバランスシートが拡大したことも見て取れるのである。
より具体的に申し上げると、今までは、「債務残高」が増えようとも、それを上回るペースで「マネーやクレジット」が創造されていたために、「資金繰り」や「流動性」に関する問題が発生しなかったのである。しかし、現在では、「国家」に加えて、「中央銀行」や「民間銀行」、そして、「民間企業」や「個人」の全てが、「大膨張した債務残高」と「収縮する資産価格」が産み出した「不良債権」の問題に悩まされ始めているのである。
しかも、今回は、先進各国における「過去40年間の金利低下」の根本原因とも言える「デリバティブの大膨張」の実情が理解されていないために、「景気が悪くなれば利下げが実施される」というような、きわめて短絡的な意見に繋がりやすくなっているのである。つまり、今後は、「債務残高が増大し続ける限り、かつての低金利状態が、決して、復活しない状況」が想定されるとともに、冒頭の「世界的な利払い問題」に関しては、古典的な「ハイパーインフレ」でしか解決できない状況、すなわち、最近、議論され始めた「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」が役に立たない状況も想定されるのである。