本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.12.8

リーマンショック前との相違点

驚いたことに、現在、多くの人々が、「リーマンショック前との類似性」を議論しているが、実際には、「不良債権が民間から中央銀行へ移行した状況」が指摘できるとともに、これからの重要なポイントは、「金利よりも資金量の理解」だと考えている。別の言葉では、「リーマンショック以降の約15年間」に関して、「多くの人々が、金融システムにおける変化を理解していなかった状況」の結果として、「今後の金融大混乱に対する対応に関して、大きな間違いが生じる可能性」も危惧されるのである。

より詳しく申し上げると、「リーマンショック」に関しては「金融界の大地震」であり、実際には、「それまで大膨張してきたデリバティブが、成長の限界に突き当たるとともに、収縮を始めた状況」だったことも見て取れるのである。つまり、「民間金融機関のオフバランス(簿外)で大膨張したデリバティブ」に問題が生じるとともに、「民間金融機関の破綻により、金融システムの崩壊懸念が発生した状況」のことである。

また、その結果として発生した変化は、「インフレの大津波が水面下で発生した状況」、すなわち、「中央銀行のバランスシート大膨張」であり、具体的には、「中央銀行が民間からの資金借り入れにより国債などを買い付ける方法」が取られ始めたのである。別の言葉では、「目に見えないインフレ税が、国民の気づかない方法により課され始めた状況」でもあるが、現在では、この方法にも限界点が訪れたものと理解できるのである。

つまり、すでに始まった「今回の世界的な金融大混乱」については、「中央銀行が、どのようにしてバランスシートを膨張させ、市場に流動性を供給するのか?」が問われている状況とも言えるのである。別の言葉では、過去15年間に実施されてきた「先進各国の量的緩和(QE)」に関して、「クラウディングアウト」と呼ばれる「国家による資金吸い上げがもたらす金利上昇」が発生したことも見て取れるのである。

そのために、これから想定される状況としては、「先進各国における債務の貨幣化」、すなわち、「財政ファイナンス」が実施される可能性であり、この点については、「1923年のドイツ」や「1945年の日本」、あるいは、「1991年のソ連」などと同様の状況とも理解できるのである。つまり、「水面下で進行してきたインフレの大津波が、誰の目にも明らかになる状況」でもあるが、今回の特徴としては、「一国だけではなく、世界全体の問題点」であり、このことは、「1600年前の西ローマ帝国崩壊と同様の状況」ともいえるために、これからの金融大混乱には、細心大胆の対応が望まれる状況だと感じている。