本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.1.25
植田日銀総裁の思惑と覚悟
1月23日に発表された「日銀政策決定会合の結論」、すなわち、「マイナス金利政策を続け、長期金利は0%程度におさえる今の枠組みの継続」については、「植田総裁の思惑と覚悟」が見え隠れする内容だったものと感じている。つまり、「マイナス金利の継続により、できるだけ時間稼ぎをしながら、限界点に達したときには、1945年以降の日本を参考にしながら、ハイパーインフレで国家債務を棒引きにする可能性」のことである。
より詳しく申し上げると、現在は、「日銀の当座預金」に、大きな圧力がかかり始めている状況であり、実際には、「貯蓄から投資への動き」を象徴する「新NISAの開始」などにより、「民間金融機関の預金」が減少し、その結果として、「当座預金残高の維持」が難しくなり始めているものと思われるのである。また、「マイナス金利」がもたらす「民間金融機関の負担」、すなわち、「短期国債の買い付けにより支払わざるを得ないインフレ税」についても、「民間金融機関の体力」を消耗し続けている状況とも想定されるのである。
そのために、現在、日銀が実施している「世界で唯一のマイナス金利」についても、間もなく、限界点に達することが想定されるが、この点に関して、今回の会合では、「植田総裁の並々ならぬ覚悟」が露見した状況のようにも感じられたのである。つまり、海外の投資家からも、冷ややかな目で見られている「日本のマイナス金利」に関して、「解除すれば日銀が債務超過に陥る可能性」も想定されるために、当面は、「為替を犠牲にしながらも、マイナス金利を継続する思惑」であり、また、「国債の入札などに問題が発生したときには、大量の紙幣増刷やCBDCの大量発行などの手段を講じる覚悟」のことである。
別の言葉では、「米国の財政事情」と同様に、現在は、「雪だるま式に国家債務が積みあがっている状況」となっており、この結果として、多くの専門家は、「単純な算数で、今後の展開が計算できる状態」とも認識し始めているのである。つまり、「誰が国債を買うのか?」が、現時点の世界的な疑問点となり始めており、その結果として、間もなく、「世界的なハイパーインフレが発生する可能性」が危惧され始めているのである。
そして、この点に関しては、「一国のみならず、世界的な問題」でもあるために、多くの人々が、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊」を研究し始めている状況とも理解できるが、実際には、「マネーの謎」や「時間のサイクル」そして、「心の謎」など、きわめて複雑な問題が存在するために、根本的な解決策が見出されるまでには、きわめて長い時間が必要な状況のようにも感じている。