本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.3.3

未来予測の問題点

投資の実践に携わり、間もなく、48年目の年を迎えようとしているが、今までの経験則から言えることは、「未来予測」に関して、「歴史の全体像からは、当然のことが起こっていながらも、自分自身の理解度の狭さや浅さにより、誤った予想をしていた」と言うことである。つまり、初期の頃には、往々にして、「自分の意見は正しいが、相場の方が間違っている」というような考えに陥ったものの、結局は、「自分の意見や理解そのものが、深い歴史認識に基づいていなかった」という点に気づかされたのである。

別の言葉では、現代人が、「戦後からの世界的な経済発展」だけに囚われているために、「戦前に発生したドイツの大インフレやアメリカの大恐慌」などが理解できない状況のことであり、また、「過去800年間の物質的な繁栄」だけに囚われている「西洋人」が、「西ローマ帝国崩壊後の800年間に、どのような世界が展開したのか?」が認識できていない状況などのことである。

つまり、私自身の経験則から理解できることは、「相場の失敗」を繰り返すたびに、「過去を遡り、より深い歴史の研究を実施した」という状況であり、その結果として、現在では、私自身の「既存の常識」に変化が発生した状況のようにも感じられるのである。具体的には、「西ローマ帝国の崩壊メカニズム」が理解できたために、現在の世界情勢が見え始めるとともに、今後の展開もわかりやすくなった状況などのことである。

別の言葉では、シュペングラーが指摘する「成ること」、すなわち、「これから発生する出来事」と、「成ったこと」、すなわち、「すでに発生した出来事」の違いが理解できたようにも感じられるのである。つまり、今までは、「マネーの大膨張」や「金融混乱の発生」などに関して、「メカニズム」が理解できないだけでなく、「発生」そのものが予見できなかったものの、現在では、「過去3000年ほどの世界的な歴史」を研究したことにより、「次に、どのような展開が考えられるのか?」に関して、いろいろな予想を立てることが可能になった状況のことである。

そして、この点については、「神様のジグソーパズル」という言葉が頭に浮かぶが、実際には、「日々の出来事が、相場と同様に、神様の与えた真理」であり、また、「我々の使命が、その出来事の中から、神様のメッセージを読み取ること」という可能性のことであり、結局のところ、「神様の望み」は「三次元にとどまっている社会科学を、四次元、あるいは、五次元以上にまで高めること」のようにも感じている。