本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.2.28

新興国と先進国

過去半世紀余りは、「新興国」と「先進国」との較差が顕著に拡大した機関だったものと考えているが、実際のところ、「1980年代の中南米」や「1990年代の東欧」、そして、「2000年代のアフリカ諸国」などについては、「景気の低迷」と「ハイパーインフレ」が共存した状況だったことも見て取れるのである。しかし、一方で、先進諸国については、「1980年代初頭から始まり、40年も継続した金利低下」などの恩恵を受けて、「1980年代の日本バブル」や「米国を中心とした株高や好景気」などからも明らかなように、「本格的なインフレからは、ほど遠い状況」だったことも理解できるのである。

そして、この理由としては、ひとえに、「1971年のニクソンショックから始まった『信用本位制』と呼ぶべき通貨制度」と「1980年代初頭に誕生し、その後、未曽有の規模にまで大膨張したデリバティブの存在」が指摘できるものと考えている。つまり、「先進諸国」は、デリバティブバブルの恩恵により、「超低金利と低インフレ率の状態」だったものの、一方で、「新興諸国」は、前述のとおりに、「多くの国々で、ハイパーインフレに見舞われた状況」だったことも見て取れるのである。

別の言葉では、「新興国」と「先進国」の差は、「コンピューターネットワークの中で、どれほどのデジタル通貨が創り出されたのか?」の違いにより産み出されたものと思われるが、実際のところ、「先進諸国では、仮想現実の世界で、大量のデジタル通貨が、膨大な金融商品を作り出した状況」だったのである。つまり、「デリバティブという金融商品」と「大量のデジタル通貨」が産み出されたものの、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」という「金融面での大地震」により、その後、「仮想現実」の世界で、「インフレの大津波」が「金融メルトダウン」、すなわち、「国債や土地、そして、株式などの何でもバブル」を発生させた状況だったことも理解できるのである。

より具体的には、「デリバティブの崩壊」を隠ぺいするために、「中央銀行のバランスシート大膨張」が発生し、この結果として起こった現象が、「デジタル通貨の枯渇」や「仮想現実から現実世界への資金の染み出し」とも言えるのである。つまり、「デジタル通貨が紙幣に形を変え、実物資産へ流れ始めた状況」のことでもあるが、この点については、今まで水面下に隠れていた「インフレの大津波」が、いよいよ、陸地に表れ始めた状況、すなわち、「何でもバブルの最終章」を意味する「世界的なハイパーインフレ」が発生する可能性を意味するとともに、このことが人々の目に明らかになるのが、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」の崩壊が、世界的に明らかになる時だと考えている。