本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.3.8

波高きは天底の兆し

「頭と尻尾は人にやれ」、あるいは、「天井売らず、底買わず」などの相場の格言のとおりに、相場の「大天井」や「大底」では、きわめて判断が難しくなる傾向が存在するものと考えている。別の言葉では、「波高きは天底の兆し」という、もう一つの相場の格言のとおりに、「上がったり、下がったりを繰り返しながら、気が付いたら、いつの間にか、相場の転換が終了していた」という展開が、私自身の経験則として思い出されるのである。

より詳しく申し上げると、「1980年の貴金属のバブル崩壊」や「1990年の日本バブル崩壊」については、私自身の未熟さにより、「バブルの崩壊時期が予測できていなかった」という状況だったが、「2000年のITバブル崩壊」や「2007年から8年の金融大混乱」については、「暦やマネー理論の応用により、正確な時期が判断できながらも、対応が難しかった」という状況だったのである。

つまり、私自身としては、「空売り」の活用などにより、「大きな利益」を上げようと目論んだものの、結果としては、冒頭の「上がったり、下がったりの繰り返し」に悩まされ、それほど、大きな利益が得られなかった状況だったことが思い出されるのである。また、「相場の大底」についても、同様の思い出が存在するが、結局は、「魚」と同様に、「お腹の部分が、一番、美味しかった」とも感じられるのである。

このように、相場の大転換期においては、「売りのエネルギー」と「買いのエネルギー」が交錯しながら、「時間をかけて、陰から陽、あるいは、陽から陰への転換が達成される展開」になるものと考えられるのである。そのために、この期間は、往々にして、「観賞用の時期」として、相場に手を出さず、ゆっくりと見守ることが、最も安全な投資法のようにも感じられるのである。

別の言葉では、人生における「天中殺」と呼ばれる期間、すなわち、誰にでも訪れる「12年のうちの2年間」が、「今までの人生を振り返りながら、これからの生き方を考える時期」であるように、現在のような「相場の大転換期」については、「自分の投資方法」を振り返りながら、「これから、どのような銘柄や商品に投資すべきなのか?」に思いを至らす時のようにも思われるのである。あるいは、「自分の人生にとって、最も大切なものは何なのか?」を考える時ともいえるようだが、特に今回は、「信用の消滅がマネーの激減をもたらす時期」とも理解できるために、より一層。「この点における考察が必要な状況」のようにも感じられるのである。