本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.3.14

ビットコインと金(ゴールド)

「インフレへの懸念」や「不安定な金融システム」などを背景にして、現在、「ビットコイン」や「金(ゴールド)」などに資金が殺到し始めているが、この時の注意点としては、「ビットコインが、本当に、インフレヘッジになるのか?」という疑問が挙げられるものと考えている。つまり、「インフレ」や「デフレ」の「本質」を追求すると、結局は、「ある一定の金額で、どれほどの商品が買えるのか?」という点に行き着くが、この時の重要なポイントとしては、「過去100年間に、どのような商品が作り出され、また、どのような通貨が産み出されたのか?」が指摘できるのである。

具体的には、「氷」のような状態である「金(ゴールド)や銀(シルバー)」から、「水」のような状態である「紙幣」が産み出され、また、その後は、「水蒸気」のような状態である「デジタル通貨」が、世界的な規模で、大量に創り出された展開のことである。そして、一方で、「通貨に対応する商品」については、「一次産品」から「工業製品などの二次産品」、そして、「サービスなどの三次産品」に加えて、「膨大な規模に膨れ上がりながらも、統計数字に含まれない金融商品」までもが存在する状況となっているのである。

つまり、現在では、「100年前とは比べ物にならないほどの『さまざまな商品』と『多様な通貨』が存在する状況」となっているために、「既存の経済学」が通用しないだけではなく、「政府やメガバンクによる市場価格の操作」までもが可能な状況となっているのである。別の言葉では、現在、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時と同様に、通貨の質が劇的に低下した状態」となっているために、今後の注目点としては、「どのような通貨が、今後、本当に信用されるのか?」が挙げられるものと思われるのである。

より具体的には、「コンピューターネットワークの中を流れることができる通貨」ではなく、「裏側に貸し手が存在せず、また、自分の手で確かめられる通貨」だと考えているが、具体的には、「貴金属」であり、また、「金や銀などに交換可能な兌換紙幣」である。つまり、今後は、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」の崩壊とともに、「大量の紙幣」が印刷されるものと思われるが、この過程で予想される現象としては、「過去の歴史」が教えるとおりに、「換物運動」という「お金を受け取ると、すぐに、市場で実物資産へ交換する動き」が挙げられるのである。そして、このことが、「ビットコインではなく、金や銀などの貴金属を、私自身が推奨する理由」でもあるが、この点については、今後、「金融界の白血病」の発生、すなわち、「紙幣や貴金属は、コンピューターネットワークの中を流れることができないために、決済面で問題が発生した時」に理解されるものと考えている。