本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.3.13
マイナス金利解除後の日本
1999年から継続してきた「日本の実質的なゼロ金利政策」は、世界で唯一残っている「マイナス金利」と同様に、間もなく、解消される時期を迎えているが、この点に関して必要なことは、「このことが、日本国内だけではなく、世界の金融システム全体に、どれほどの影響を与えるのか?」の理解だと考えている。つまり、すでに金利上昇に見舞われた「他の先進各国」では、「国債」などの債券のみならず、「不動産」などの価格急落に見舞われるとともに、大量の「不良債権」が、いろいろな所で発生していることも見て取れるのである。
より詳しく申し上げると、日本国内では、「円安」により「金利の上昇」を防いできた日銀が、最近の「国債の入札金利上昇」などからも明らかなように、現在、「マイナス金利の解除」を目論んでいることが、世界的な注目を浴びているのである。別の言葉では、「人類史上、初めての経験」とも言える「マイナス金利」や「世界的なゼロ金利」が、長期間にわたり実施されてきた影響が、今後、「どれほどの問題を、世界の金融界に発生させるのか?」に、世界中の関心が集まっているものと考えられるのである。
また、このような異常事態が発生した原因としては、いまだに存在する「約600兆ドルのOTCデリバティブ」が挙げられるが、実際には、「1997年から98年の金融大混乱」に見舞われた「先進各国の金融当局者」が、「オフバランスで民間金融機関のバランスシートを大膨張させることにより、大量のデジタル通貨の創造に成功した」という状況だったことも見て取れるのである。つまり、「金融界の大量破壊兵器」と呼ばれる「デリバティブ」を、大量に作り上げることにより、「国家の債務破綻」や「金融システムの崩壊」に関して、「時間稼ぎ」と「問題の先送り」が可能な状況のことである。
しかし、その結果として発生した事態は、「雪だるま式に膨れ上がった世界の債務残高」であり、実際には、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務残高」という「目に見えない金融ツインタワー」でもあるが、現在では、多くの人々が、徐々に、これらの問題点を理解し始めている状況とも思われるのである。
つまり、さまざまな問題の発生により、世界各国で、「お金の謎」や「金融システムの歴史」などを解明する動きが始まった可能性のことでもあるが、今後、最も注目すべき点は、やはり、「過去四半世紀にわたり、金融政策において先進各国の先導役を果たしてきた日銀が、今後、『紙幣の大量増刷』や『CBDC(中央銀行デジタル通貨)の大量発行』などに関しても、今までと同様に、先導役となるのか?」ということだと考えている。